投資前夜に読んで欲しいインサイト②TOPIXとは
ステート・ストリート日本オフィスの運用責任者が、インデックス・ファンドの仕組みをわかりやすく解説。納得して投資を始めるためのヒントをお伝えします。5回シリーズの第2回は日本株を代表する指数の一つであるTOPIXについて。指数の成り立ちや特徴をご紹介します。第1回「インデックス・ファンドとは?」はこちら
TOPIX(東証株価指数)は1969年に算出を開始しました。当時既に日経平均株価はありましたが、東京証券取引所(以下東証)は、日本の株式市場全体をより正確に表す指数の設定に動き、生まれたのがTOPIXです。TOPIXは、当時の東証一部上場全銘柄(現在は市場再編により主にプライム市場)を対象とし、日経平均(東証に上場する代表的な225銘柄の株価平均)との最大の違いである時価総額加重型を採用しました。企業規模の適切な反映により、日本の株式市場全体の時価総額の動きを表す指数として設計されています。
TOPIXの基準日は1968年1月4日で、その日の時価総額を100としました。足元では上昇基調が続き、現在の水準は概ね4000弱となっています。これは日本の上場企業全体の企業価値が、長い年月を通じて、実質的な経済成長、インフレ、金融環境の変化、市場構造の変化などを背景に大きく拡大してきたことの表れです。算出開始当初のTOPIXは銘柄入替のルールはなく、東証一部上場銘柄は自動的にTOPIX構成銘柄となるシンプルな設計でした。そのため投資云々というよりは、日本株式市場全体の動きを表す公式な統計指標としての役目を担っていました。
約60年の歴史の中で、TOPIXは大きく分けると3度の変革を経ています。最初の変革は1980年~1990年代、インデックス運用の台頭を背景に、年金基金など機関投資家といった投資のプロが運用成績のベンチマークとしてTOPIXを利用し始めたことにあります。この時期、多くのプロの投資家が巨額の資産を株式で運用するようになり、その運用成果をTOPIXの推移と比較し、市場全体に対して自らの運用成績が優れていたかどうかを判断するようになりました。その結果TOPIXは、単に市場の成績を示す指標という位置づけから、年金や投資信託などの巨額資金が連動する投資インフラへと、その性格を大きく変えていったのです。
次の変革は2005年から2006年にかけての、時価総額加重型から浮動株時価総額加重型への移行です。インデックス運用が拡大していた当時、TOPIXでは全ての株が同じ算定ルールで指数に反映される点が問題視されました。例えば当時一般的だった、銀行と取引先企業、または企業同士が互いの株式を保有する持ち合い株や、創業者の経営権維持を目的とする株式など、株価が変動しても売買されず、市場に出てこない株式も他の株式と同じように指数に反映されていました。この問題を解消するためTOPIXは、市場で実際に売買される可能性が高い株式=浮動株のみを指数に反映させる仕組みへ移行し、指数を投資実態に近づけました。
3度目の変革は、2022年以降現在も進行している東証の市場再編を契機とした大転換です。2022年4月に東証が、それまでの東証一部、二部、マザーズという区分からプライム、スタンダード、グロースへと市場を再編したことは記憶にある方も多いでしょう。東証は各市場の上場基準を厳格化し、上場銘柄の位置づけを見直しました。それに伴いTOPIXも、網羅性を最優先してきた指数から、流動性基準に基づく定期入替を導入するなど、投資対象としてより効率の良い指数を目指す方向へと舵を切っています。
さて、ではこの長い歴史を持つTOPIXにおいて、当社がどのようにアプローチしてきたかにも触れたいと思います。ステート・ストリートが最初に日本株を含む投資信託を設定したのは1998年です。ステート・ストリートは米国企業ですが、日本株を長らく重要なグローバル株式の一部として運用しています。TOPIXは特定の業界に偏ることなく、日本株式市場全体を長期に、公正に捉える指標であり、当社は短期的なトレンドではなく、指数の構造や変化そのものを重視して分析・検証しています。その結果として、TOPIX連動型のインデックスファンドにおいても投資家にとって効率的な低コスト運用を実現しています。
ステート・ストリートの低コスト・インデックス・ファンド・シリーズ
今回はTOPIXの歴史と、その中で当社がTOPIXをどう捉えてきたかについてお伝えしました。次回は、当社を語る上で外せない指標であるS&P500を取り上げます。S&P500は単なる指標ではなく、もはや米国経済そのものを象徴する存在と言えるでしょう。世界中の投資家が常に注目しているS&P500について、改めて深く理解する機会をご提供できれば幸いです。