投資前夜に読んで欲しいインサイト①インデックス・ファンドとは?
ステート・ストリート日本オフィスの運用責任者が、インデックス・ファンドの仕組みをわかりやすく解説。納得して投資を始めるためのヒントをお伝えします。5回シリーズの1回目は、インデックス運用について。そもそもインデックス運用とは何でしょうか。
当社は1978年に米国ボストンで資産運用業務を開始した当初から、一貫してインデックス運用を主要領域としてビジネスを展開してきました。そして、当社がインデックス運用のパイオニアと呼ばれる所以として象徴的な出来事が1993年、米国で初めてのETFとなったSPY(State Street® SPDR® S&P 500® ETF)の設定です。この出来事によって、インデックス投資は機関投資家の専有物から一般投資家にも開かれた投資手法へと大きく転換し、広く知られるようになったのです。以降私たちは、単なる指数連動にとどまらず、大規模なインデックス運用が滞りなく実装される仕組みの構築や指数連動の精度向上、更には機関投資家の意向に沿ったカスタマイズ・インデックスの提供などを通じてインデックス運用の礎を築き、現在も尚進化を続けています。
ではそもそもインデックス・ファンドはどのように生まれ、運用されるのでしょう。まず大前提として、インデックス・ファンドとは、指数(インデックス)に連動する成果を目指す投資信託やETFを指します。指数そのものに投資はできないので、指数を再現するファンドを作る、と考えると理解しやすいでしょう。その指数で採用されている銘柄を、同じ(または限りなく近い)比率で組み入れたファンドは、理論的には指数と同じ動きをすることになります。指数は定期的に銘柄の入れ替えや比率の変更が行われるため、インデックス・ファンドもそれに合わせて市場で売買を行い、ポートフォリオを調整します。
実はインデックス・ファンドは同じ指数を追っていても運用会社によって結果は変わります。インデックス運用では、どの銘柄をどの比率で持つかは既に決まっていますが、先ほどもお伝えしたように、指数は定期的に中身が調整されますから、その調整をどれだけ正確且つ効率的に再現できるかでファンドの結果に差が出ます。この、指数とファンドの値動き(運用結果)のズレを表す概念をトラッキングエラーと呼びます。トラッキングエラーは売買のタイミングや取引毎に発生するコスト、指数調整がファンドに反映されるまでのスピードなどによって生じ、こうした小さなズレは長期間の運用では結果の差として積み上がります。いつ、どの市場で、どの順番で売買するかによって不利な価格での約定を避けたり、市場コストを抑えられるのです。こうした売買や執行力の差は、ノウハウや経験を持つ運用会社とそうでない会社との間で実力差としてはっきり表れます。
ところで、手数料はどのような計算を元に設定されると思いますか。一般的にインデックス・ファンドの手数料は信託報酬(外国籍ETFの場合は経費率)として示されます。信託報酬は主に、運用・管理・法務・監査・マーケティングにかかるコストなどファンドを運営するための費用から成り立っています。運用会社はまず、そのファンドを運用するのに年間どれくらいのコストがかかるかを見積もり、将来的にそのファンドがどれくらいの規模(運用資産残高)になるかを想定します。手数料は固定額ではなく「率」で決まるため、ファンドの規模が大きいほど同じ手数料率でも運用会社の収入は増えます。つまりファンドの規模が大きいほど手数料も低く設定することが可能になります。実際、人気のあるファンドが運用途中で手数料率を引き下げることがあるのはそのためです。更に、同じ指数を追う競合ファンドとの比較や、知名度を高めるために敢えて利益を抑えて低い手数料を設定するといった運用会社の戦略も手数料に反映されます。
ステート・ストリートは、これまでの豊富な運用経験で培ったノウハウを活かし、売買・管理・決済といったシステム面のコストを効率的に抑えています。先ほど指数の内容が更新されるたびにファンドの中身を調整するとお話ししましたが、実は、どの銘柄をどの程度売買するかは、銘柄の入れ替えや比率変更、配当や資金の流出入が発生した時点でルールに基づきシステムがある程度、自動的に算出・処理しています。一方で、その売買が市場に与える影響を見極めたり、市場が大きく変動している局面での対応、想定外の事態への対処については運用担当者(ポートフォリオマネージャー)が常に監督し、最終的な責任を負っています。こうした「機械による自動化」と「人による監督・判断」の分業体制によって、コストを抑えつつ想定外の事態に強く安定したリスク管理を行うことが可能になります。自動化できるところは徹底的に自動化しつつ、重要な判断は人が担う、この仕組みが当社の低い手数料と高い指数連動性の両方を支えています。
インデックス・ファンドというとつい手数料の低さだけで比較しがちですが、コストが低いかどうかに加えて、指数にきちんと連動させるための運用体制が整っているか、という視点も取り入れてみてください。インデックス・ファンドは指数との「連動」を目指す商品ですから、指数が下がればそのファンドの基準価額も下がります。しかし、連動性が高いということは、上昇局面でも下落局面でも設計通りに動くということであり、長期投資における信頼の証と言えます。こうした視点で、アクティブ運用ファンドと比較してみるのも一つの考え方でしょう。当社は信託報酬の低さを追求するだけでなく、その裏側で指数とのズレを抑える運用体制を長年にわたり磨いてきました。当社のこれまでの積み上げも、商品選びの判断材料の一つとしてご検討いただければ幸いです。
ステート・ストリートの低コスト・インデックス・ファンド・シリーズ
今回はインデックス・ファンドが設定される仕組みについてお話ししました。次回は実際に投資信託やETFのベンチマークとして使われている指数の特徴を掘り下げます。まず最初に取り上げるのは、日本株を代表する指数の一つであるTOPIXです。指数の成り立ちや特徴を知ることで商品選びの視点もより広がると思います。次回もよろしくお願いします。