Skip to main content
インサイト

システマティック投資適格社債2025年4月年初来サマリー: 荒海のなかでファクターが安定化に寄与

  • 4月のシステマティック・アクティブ債券(SAFI)運用戦略のパフォーマンスは、クレジット市場と株式市場のボラティリティが大幅に上昇するなかで底堅さを見せ、他のファンダメンタルズ重視のアクティブ運用戦略をアウトパフォームしました。
  • 2つのシステマティック米国投資適格社債戦略は第1四半期にそれぞれのベンチマークをアウトパフォームしました。
  • 3月のスプレッド拡大にもかかわらずバリュー・ファクターが両戦略のパフォーマンスを牽引し、モメンタム・ファクターも寄与しました。
Client Portfolio Manager

2025年1-4月: SAFI戦略ポートフォリオは厳しい環境下でアウトパフォーム

投資適格(IG)社債スプレッドは2024年から2025年初頭にかけて底堅く推移しましたが、3月と4月に、関税・貿易政策をめぐる不透明感を背景とする社債市場の大幅な変動の影響にさらされました。リスク資産はその後、依然として底堅い経済データや労働市場のデータを受けて4月上旬以降、回復しました。

2025年第1四半期、米国投資適格社債指数のオプション調整後スプレッド(OAS)は80ベーシス・ポイント(bp)から拡大して期末には94bpをつけ、4月8日には約120bpまで拡大しました。このようにクレジットにとって厳しい環境であったものの、当社SAFI戦略ポートフォリオのパフォーマンスは持ち堪え、他のファンダメンタルズ重視のアクティブ戦略をアウトパフォームしました。

2025年第1四半期の戦略パフォーマンス

当社の2つのシステマティック米国投資適格社債ポートフォリオは2024年に力強いパフォーマンスを示し(SAFI 2024 Update and Reviewを参照)、2025年第1四半期も上昇を続けました。これまでのところ、中期戦略と長期戦略はサイクル全体でそれぞれパフォーマンス目標の年間25~50bp、50~75bpを上回っています(予想トラッキングエラー・ボラティリティは50~125bp)。四半期全体で、中期戦略は約10bp、長期戦略は約4bpベンチマークをアウトパフォームしました(図表2)。
 

  中期(1-10年)ポートフォリオ 長期(10年超)ポートフォリオ
  四半期(%) 1年(%) SAFI戦略設定来(%)* 四半期(%) 1年(%) SAFI 戦略設定来(%)*
システマティック米国投資適格社債(運用報酬控除前) 2.43 6.82 4.88 2.56 2.28 0.02
ベンチマーク 2.33 6.11 4.00 2,51 1.37 -1.04
差(運用報酬控除前) 0.10 0.71 0.88 0.04 0.91 1.06
システマティック米国投資適格社債(運用報酬控除後) 2.42 6.80 4.87 2.55 2.27 0.01
ベンチマーク 2.33 6.11 4.00 2.51 1.37 -1.04
差(運用報酬控除後) 0.10 0.69 0.87 0.04
0.90 1.05
トラッキングエラー・ボラティリティ   0.23 0.33   0.39 0.43
インフォメーション・レシオ   3.07 2.64   2.34 3.18

出所: ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ。2025年3月31日時点。システマティック・投資適格米国社債ポートフォリオは2023年12月31日にSAFI投資プロセスに移行しました。過去の実績は将来のパフォーマンスの信頼できる指標ではありません。運用期間が1年未満の実績は年率換算されていません。上記表に記載したパフォーマンスの数値は運用報酬控除前(グロス)および控除後(ネット)ベースで示されています。運用報酬控除前の数値はリターンを低下させる可能性のあるアドバイザリー手数料などの経費の控除を反映しておらず、控除後の数値はそうした経費の控除を反映しています。*設定日:2023年12月31日。ファンドの履歴はこの期間以前にも存在しますが、SAFI戦略では運用されていません。

年初来のパフォーマンスは主に3つの要因に牽引されました。第一に、バリュー・ファクターは他の債券と比べてリスク調整後ベースで割安な債券にポートフォリオをティルトさせる傾向があることが挙げられます。その結果、これらのスプレッドが徐々に縮小するとの予想に基づき、SAFI戦略ポートフォリオは通常、対ベンチマーク指数でクレジットリスクをロングしています。しかし、過去数ヵ月のようなリスクオフ環境では、スプレッドは拡大する傾向があり、スプレッドが大きいほどより拡大する傾向があります。当社のSAFI戦略ポートフォリオのパフォーマンスは、こうした状況下では、このデュレーション・タイムズ・スプレッド(DTS)のロングポジショニングから打撃を受けることになります。パフォーマンス要因分析において、この点は明確に確認されました。

第二に、この循環的なパフォーマンス悪化要因にもかかわらず、バリュー・ファクターとモメンタム・ファクターはともに、累積ベースで年初来のパフォーマンスに全般的に寄与し、センチメント・ファクターは横ばいでした。重要な点として、これらのファクターは予想通りの動きをしました。第1四半期には、バリューがパフォーマンスの主要な牽引役でしたが、モメンタムはボラティリティが上昇しスプレッドが拡大する局面でパフォーマンスを押し上げ、ダウンサイドで「ダメージを和らげる」役割を果たしました。

最後に、4月はバリュー・ファクターにとって厳しい月となりましたが、モメンタム・ファクターは寄与しました。不安定な市場環境とビッド・アスク・スプレッドの拡大はトレードの結果に打撃を与えました。

今後の見通し

市場は4月の混乱から回復して落ち着きを見せており、投資適格社債のスプレッドは約100bpまで戻っています。しかし最近の歴史が教訓になるのであれば、政策とマクロ状況は2025年にさらに混乱するでしょう。クレジット市場のドローダウンはパフォーマンス全般に打撃を与えましたが、当社のSAFI戦略ポートフォリオは、「解放の日」の関税政策の発表を受けた直近のボラティリティ上昇局面で、他のファンダメンタル戦略と比べて下振れを限定する特性を示しました。これは、サイクルを通じて、様々なクレジット市場環境下でベンチマークを上回るパフォーマンスを目指す債券ポートフォリオにおいて、アルファ要因が多面的な役割を果たし得ることを示す、初期段階における有力な実証例となります。

More on Systematic