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第1部:パンデミック後の景気サイクルを形作る長期トレンドの概観

経済と市場のボラティリティが上昇し、高いインフレ率が常態化するという特徴を持つ、新たな市場体制に入ったと考えています。現在のスタグフレーション的な環境に至った循環的・長期的な変化を評価し、こうした傾向が次の景気循環でどのように現れるかについて分析します。

Investment Strategist

金利低下が永続するという考え方からのシフト

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(当社)は、景気循環の力と、(短期的な動向に左右されない)長期的な力が、過去10年余りにわたり経験してきたものとは異なる環境を形成する、新たな市場体制に入ったと考えています。長期的な観点から見ると、19世紀と20世紀前半(1980年代以前)の「伝統的な景気循環」は、好況・不況のサイクルやインフレ率と金利の上下動を反映し、概して変動が激しく短命でした。一方、過去40年間は、ある意味例外的でした。この期間はグローバル化、技術進歩、独立した中央銀行(フォワードガイダンス)が経済の安定とインフレ率の持続的な低下をもたらしたことで、予測可能性が高まり、経済成長とインフレが安定しました。図表1に示すように、各金利サイクルはその前のサイクルよりも低い金利でピークを迎えたため、投資家は最終的に「永続的に金利は低下する」との考えに陥り、成長が伸び悩む時にはつねに政策支援を期待するようになってしまいました。

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パンデミックからの脱却にあたって、投資家は従来とは異なるマクロ環境と優先項目に直面し始めており、これは投資スタイルや利用可能な投資機会も変化していることを示唆しています。パンデミック後の景気循環は、より従来型の景気循環の要素を反映したものとなり、インフレ率の上昇と政府介入の増加、そして気候変動、医療危機、地政学的・社会的緊張の高まり、脱グローバル化、技術革命など複数の要因から生じる、より極端でファット・テールな(極端な事象が起きる確率が高い状態にある)結果を伴うと思われます。