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2022年グローバル経済市場見通し:危機脱出への模索が続く


横谷 宏史

運⽤部
マネージング・ディレクター


今回は弊社で取りまとめた2022年のグローバル市場経済見通しをもとに来年の経済市場を展望します。弊社が昨年12月に発表した2021年の見通しは「底力が試される年(英語では”Resiliency Retested”)」でした。2021年は新型コロナ感染拡大に対しワクチン接種の進展と経済再開がテーマでしたが、グローバル経済は回復を続けることに成功し、正にその底力が発揮された年になりました。ワクチンの普及により新型コロナ感染の状況は世界的にも日本でもかなり改善し経済再開が進みましたがここにきて「オミクロン株」の懸念が広まるなど、まだ危機を脱したとは言い切れない状態にあります。2022年のテーマは「危機脱出への模索が続く(英語では”Continuing the Climb”)」です。

1. 世界のマクロ経済見通し

2022年の経済成長率は米国で4.4%、中国で5.0%と今年に比べると減速を見込んでいます(図表1)。コロナショックからの立ち直りの中で米国と中国はグローバル経済回復のけん引役となって来ましたが、回復モメンタムはピークを過ぎたと見られます。それでも米国は、回復の裾野が製造業からサービス業に移っていく中で、潜在成長率を上回る成長が見込まれます。中国は、供給制約の問題や不動産市場などの不透明感から過去水準と比べても低い成長率にとどまる見通しです。

一方で図表2は日本と欧州(ドイツ)の見通しですが、2022年の日本は3.0%、ドイツは4.8%と成長率の加速を見込んでおり、いずれも過去水準と比べても高めの成長見通しです。2022年は米国や中国に比べて回復がやや出遅れた地域に成長の裾野が広がっていく展開となりそうです。

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2. インフレと金融政策

2021年に台頭したインフレ懸念は、2022年も引き続き重要なテーマになりそうです。景気回復が続く中で、堅調な需要と供給制約の継続により、インフレ率は当面はコロナショック前より高い水準で推移する見通しです。インフレ率の水準に構造的な変化が生じたか否かを見極めるのはまだ時期尚早ですが、期待インフレの動向や賃金上昇率の動向に注意が必要です(図表3)。米国ではFRBが2022年から利上げ開始の見通しです。インフレ率の高止まりに対する懸念に市場の注目が集まる中で、米国の金融引き締め政策の動向いかんでは市場のボラティリティは上昇する可能性に注意が必要な年となりそうです。

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3. 資産配分の考え方

図表4は弊社の資産配分の考え方を表す例として、米国のモデルポートフォリオの各資産の戦略的配分(オーバーウェイトまたはアンダーウェイト)を見たものです。戦略のベースとなる考え方はグローバル経済の堅調な回復が前提で、リスク性資産である株式のオーバーウェイトを維持する一方、国債を中心とする債券はアンダーウェイトとしてある程度リスクをとりにいく配分としています。株式の中では、米国に対して欧州経済ファンダメンタル改善見通しを背景に、欧州株のウェイトを引き上げて米国株のウェイトを引き下げました。債券の中では、ファンダメンタルが良好な投資適格社債に加え、株式等のリスク性資産との分散効果の観点からデュレーションの長い債券をオーバーウェイトしています。またインフレヘッジの観点からコモディティを一定程度オーバーウェイトしています。2022年、投資家はグローバル経済回復を前提としつつも、新型コロナ感染拡大の動向やインフレ率の高止まり懸念にも留意した資産配分戦略が求められそうです。

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