ナスダックとは何か。それは単なる取引所や株価指数を超えた存在です。成長を牽引する企業群や、現在そして将来の経済を形成する企業群を反映しています。その魅力と意義をご紹介します。
かつて、株式の売買は物理的な取引でした。株券はコーヒーハウスや街頭の市場でやり取りされ、買い手と売り手が対面で交渉していました。その後、取引の場は混雑したトレーディングフロアや公式の取引所へ進化し、場立ちによる怒号のような声、ハンドサイン、ティッカーテープ、電話、印刷された気配値に基づいて価格が決まるようになりました。
このトレーディングフロアでの競売というモデルは、数十年にわたり、現代の金融を特徴づける存在でした。情報はゆっくりと流れ、そこに登場したのがNasdaqです。
Nasdaqは、トレーディングフロアを一切持たない世界初の電子取引所として設立され、市場運営に構造的な転換をもたらしました。また設立以来、現在の主要な成長企業の多くにとって中心的なマーケットとなっています。それによって、成長を牽引する企業(グロースリーダー)や、その成長機会を捉えるための手段を投資家に提供してきたのです。
Nasdaqは市場構造と株式市場のリーダーの両方にとって中心的な存在です。
Nasdaqは、その構造と上場銘柄によって、株式市場において特有の役割を果たしています。単なる上場市場ではなく、成長、資本、イノベーションが交錯し、凝縮された形で表れる場です。その結果、Nasdaqの銘柄構成とパフォーマンスは、リーダー企業、セクターのダイナミクス、投資家のポジショニングの大きな変化を往々にして示しています。
Nasdaqには時価総額ベースで世界最大クラスの上場企業が数多く上場しています。時価総額が最も大きい企業10社のうち、実に9社がNasdaq-100 Index®1の構成銘柄です。投資家はNasdaq-100Index®を頻繁に利用しています。Nasdaq-100 Index®はNasdaqの旗艦インデックスで、Nasdaq上場企業(金融セクターを除く)の時価総額上位100社から構成されており、大型グロース株の代替指標として利用されています。
図表1:Nasdaq-100 Index®の上位10社
| Name | ポートフォリオにおけるウェイト(%) | 時価総額(10億ドル) |
|---|---|---|
| NVIDIA | 7.60 | $4,659 |
| Apple | 6.80 | $4,168 |
| Alphabet | 6.19 | $4,092 |
| Micron | 5.75 | $1,279 |
| Microsoft | 4.52 | $2,771 |
| Amazon | 4.08 | $2,503 |
| AMD | 3.83 | $850 |
| Tesla | 3.09 | $1,426 |
| Intel | 2.90 | $645 |
| Broadcom | 2.82 | $1,737 |
| Average total market cap | $2,413 |
出所:Bloomberg Finance, L.P.、2026年4月30日時点。データの特徴は記載日時点のもの。Alphabetのポートフォリオにおけるウェイトは、クラスAとクラスCの両方の株式を合計して計算。個別銘柄への言及は、投資推奨または助言として解釈すべきものではありません。
Nasdaq-100 Index®とNasdaq Composite® Indexはどちらも、情報技術、一般消費財、ヘルスケア2などの成長志向のセクターの企業に大規模なエクスポージャーを有しています。こうした重点配分は、市場サイクル3を通じて急速な成長を牽引する企業やセクターへのエクスポージャーを維持することで、構造的な成長を後押しする要因として機能してきました。
多くのNasdaq上場企業は、AI、クラウドコンピューティング、半導体、ヘルスケアなどの分野におけるイノベーションの最先端に位置しています。これは投資家にとって、Nasdaqに関連付けられたエクスポージャーが単なる幅広い株式エクスポージャーではなく、長期的な経済成長を牽引する企業や業界へのより直接的なアクセスを提供していることを意味します。
Nasdaq上場企業の多くは、
そのため、Nasdaqのエクスポージャーは、長期の構造的な成長トレンドとの整合性が強い企業やセクターを反映する傾向にあります。
少数の企業が利益成長の大部分を占めるようになったことで、成長志向の企業は主要株価指数の中で一段と目立つ存在になっており、その多くはNasdaqに上場しています。株式市場全体のベンチマークに対するNasdaq-100®とNasdaq Composite®の相対パフォーマンスは、これらのインデックスの構成が成長志向の企業やセクターに偏っていることを反映しています。
Nasdaqは、投資家が株式や上場投資信託(ETF)などの証券を売買できるグローバル市場としての役割を果たしています。また、Nasdaq, Inc.は、さまざまな銘柄バスケットで構成される無数のインデックスを維持管理しています。
Nasdaq市場は、長年にわたり、成長企業が新規株式公開(IPO)7を行う主要な上場取引所であり続けており、1970年代から80年代にかけてはApple、Intel、Microsoftなどが上場しました。また、時価総額で世界第2位の証券取引所⁸でもあります。
図表3:Nasdaq市場の設立以来の成長率
ナスダック上場銘柄数 9
上場企業の時価総額合計 10
2015年以降のIPO件数 11
2026年のナスダック上場対象IPOの獲得率 12
Nasdaq市場は三つの階層から構成されます。
各階層には企業がNasdaqに上場するための具体的な要件があります。企業が順守しなければならない財務、流動性、コーポレートガバナンス上の具体的な要件が、階層ごとにあります。16
Nasdaqはコンピューターと市場参加者のネットワークを通じて買い手と売り手を結びつけます。複数のマーケットメーカーが買値と売値を競って提示します。
Nasdaqは数千におよぶ広範なインデックスを維持管理していますが、最も重要なインデックスはNasdaq-100 Index®とNasdaq Composite® Indexの二つです。Nasdaq-100®は金融セクター以外の大型の有力企業を中心としており、Nasdaq Composite®はNasdaq市場全体を包含しています。どちらのインデックスも時価総額加重型ですが、Nasdaq-100®は、特定銘柄の除外、浮動株比率が低い銘柄へのエクスポージャーの制限、および修正時価総額加重アプローチを採用していますが、これは企業および証券別のウェイト制限を厳格に適用し、投資集中度をコントロールするためのものです。Nasdaq Composite®は伝統的な時価総額加重に従っており17、Nasdaq-100®のような制限はありません。
Nasdaq-100®は、Nasdaq上場企業で金融セクター以外の時価総額上位100社で構成される集中型のインデックスで、Nasdaq市場で特に定評ある多くのグロースリーダーへのエクスポージャーを提供します。構成銘柄は、情報技術、コミュニケーションサービス、ヘルスケアなどのセクターに大きく偏っており、グローバルに事業を展開する大型株が中心を占める傾向にあります。その結果、Nasdaq-100®は往々にして、グロース投資のベンチマークではあるものの、上位保有銘柄への集中リスクが高いと見なされています。投資家にとってNasdaq-100®は通常、長期的な利益成長と、主要な経済トレンドを形成する企業へのエクスポージャーを得るための資産配分先として利用されています。
対照的に、Nasdaq Composite®はNasdaqの全体像を提供し、大型株の有力企業からより小型の初期段階にある企業まで、Nasdaqに上場しているほぼ全ての企業で構成されています。構成銘柄は、バイオテクノロジー、金融、新興の成長企業など、幅広いセクターと規模に及んでいます。Nasdaq Composite®は、他の主要インデックスに比べて成長志向ではあるものの、Nasdaq-100®よりもやや分散されており、Nasdaq市場全体の有用な代替指標となっています。また、Nasdaq-100®には含まれない金融セクターも含まれます。投資家にとって、Nasdaq Composite®は、Nasdaqについてのより包括的なスナップショットを提供し、定評ある有力企業と次に現れる潜在的なイノベーターの両方を捉える指数です。
図表4:Nasdaq-100®とNasdaq Composite®のセクター別内訳
| Nasdaq-100 Index® | Nasdaq Composite® Index | |
|---|---|---|
| Technology | 65.54% | 64.90% |
| Consumer Discretionary | 18.64% | 17.60% |
| Telecommunications | 3.87% | 2.32% |
| Health Care | 3.77% | 4.70% |
| Industrials | 2.97% | 3.17% |
| Consumer Staples | 2.17% | 1.42% |
| Basic Materials | 1.30% | 0.97% |
| Utilities | 1.18% | 0.81% |
| Energy | 0.55% | 0.74% |
| Financials | 0.00% | 2.81% |
| Real Estate | 0.00% | 0.57% |
出所:Nasdaq-100®とNasdaq Composite®のセクター別ウェイト、Nasdaq Global Indexes、2026年5月18日。セクター分類は業種分類ベンチマーク(ICB)の手法に基づく。
Nasdaqは、成長性が高く、将来を見据えた業界への投資機会を求める投資家を引きつけています。このポジショニングは、成長を重視する投資家層に向けて、企業が自らのストーリーを語る上で役立ちます。
図表5:数字で見るNasdaq市場への上場変更500件
時価総額合計 18
Nasdaq-100®採用企業数 19
企業の所在国数 20
S&P 500構成企業数 21
時価総額200億ドル超の企業数 22
事業セクター数 23
Nasdaqの手数料体系と上場モデルは、継続的な上場コストや追加費用を引き下げることや、追加的な手数料負担が少ないこと24などにより、他の取引所に対するコスト優位性を提供します。Nasdaqに上場することで、企業はNasdaq-100®やNasdaq Composite®などのインデックスの構成銘柄となり、新たな投資家を呼び込む機会を得られます。
Nasdaqに上場しているのは割高なハイテク株だけではありません。
Walmartは、コンピューター、半導体、ロボットなどの製造ではなく、伝統的な実店舗の小売業からスタートした企業です。2025年12月、50年以上にわたって上場していた以前の取引所25からNasdaqへ上場先を変更し、同年12月9日からNasdaqでの取引が開始されました。
今日、Walmartは、eコマース、デジタルサービス、ヘルスケアなどの事業領域に拡大しています。これはWalmartがテクノロジー主導の成長志向のビジネスモデルに移行していることを反映しています。Walmartの上場先の変更は、Nasdaqが情報技術セクター以外の上場銘柄にも開かれた存在へ進化していることを明確に示すものです。
Nasdaqは世界第2位の上場時価総額を有する取引所であり、世界初の電子取引所26でもありまが、その始まりは違う形でした。Nasdaqは、主に株取引の非効率性と透明性の欠如という二つの重大な問題を解決するために設立されました。
当時、ほとんどの取引は物理的なフロアや、ディーラーが電話で交渉する分散型の店頭取引(OTC)27市場を通じて行われていました。しかし、株価が地方紙や全国紙に掲載される頃には情報は古くなっていました。気配値は往々にして統一されておらず、価格情報は分散しており、投資家は証券取引が行われている場所や価格について限られた情報しか得られませんでした。
1963年、証券取引委員会(SEC)は「証券市場に関する特別調査」(Special Study of the Securities Markets)というレポートを公表し、株価の透明性と市場の効率28を改善するために、紙媒体の気配値に代わるコンピューター化された気配値の導入を推奨しました。
当時、全米証券業協会(NASD)には約5,000社が加盟していました。NASDは電話やピンクシートを通じて株取引を行うOTC市場の規制機関であり、既に「フロアレス」のバーチャル市場29を運営していました。したがって、こうした問題へ対処する上で最適の立場にありました。
NASDの主導によって、Nasdaqは1971年に設立されました。この名称は全米証券業協会自動相場表(National Association of Securities Dealers Automated Quotations)の頭文字をとったものです。Nasdaqは、OTC株式のマーケットメーカーが買い/売り気配値の情報30を電子的に更新できる初の電子システムでした。NASDは現在の金融業規制機構(FINRA)31へと発展し、その後1985年にNasdaq-100 Index®が設定されました。
図表6:Nasdaqの主要なマイルストーン
1971
Nasdaqが電子取引を開始
1971
IntelがNasdaq上場
1980
AppleがNasdaq上場32
1980代
NasdaqがNasdaqWorkstationを導入し、ブローカーによる宣伝や相互のやり取りが可能に33
1984
Nasdaqが電子注文執行サービスを開始34
1985
旗艦インデックスのNasdaq-100 Index®を設定
1999
NvidiaがNasdaq上場35
2014
米国におけるNasdaqのIPO件数が同年から38四半期連続でトップに36
2021
Nasdaqが1971年の設立から50周年を迎える
やがて、Nasdaqは気配値入力システムから取引を執行できる完全な電子取引所へ進化し、金融市場を一段と近代化しました。特に20世紀終盤にコンピューター関係や通信などの業界が急速に拡大したこともあり、Nasdaqは成長志向の企業が上場する市場として有名になりました。Nasdaqという名称は昔の名残であり、特定の場所だけで行われていた手作業による株取引が、高速なテクノロジー主導の市場へと幅広く移行したことを反映しています。
Nasdaqは今や、グロース投資の代名詞であるのみならず、変化しつつある株式市場の中核をなす存在になっています。幅広い銘柄が含まれるインデックスが、利益成長とインデックスのパフォーマンスを牽引する比較的少数の企業群に集中するにつれて、「グロース」と「コア」の区別は薄れています。今日、グローバルの主要ベンチマーク指数で大きな比重を占める企業の多くは、Nasdaqがエクスポージャーを提供する企業と同一です。すなわち、複数の業界にまたがってビジネスを展開し、グローバル経済を形作っている大規模なプラットフォーム型の企業です。
投資家にとって、この変化はNasdaqへのエクスポージャーの役割を捉え直すものです。Nasdaqへのエクスポージャーは、高リスクのグロース株への戦術的な集中投資ではなく、未来のグローバル市場を形成する企業への戦略的資産配分と見なすことができます。こうした企業は往々にして、事業を多角化しており、グローバルな規模を持ち、日常的な経済活動に深く組み込まれています。この点で、Nasdaq-100®へのエクスポージャーは、現代の株式ポートフォリオのコアへの配分を補完し、場合によってはコアそのものになり得ます。つまり、市場を長期的に牽引する有力企業へ集中的に投資する方法を提供しているのです。
ナスダック指数に投資すれば、ナスダック市場において特に影響力が大きく、急成長している企業の一部に的を絞ったエクスポージャーを得ることができます。一方、成長志向の銘柄はボラティリティを伴う場合があります。したがって、Nasdaqへのエクスポージャーはリターンを向上させる可能性があるものの、往々にして市場の変動に対する高い許容度が求められます。
Nasdaqへのエクスポージャーは、長期的な株式リターンを一貫して牽引してきた企業へのアクセスを提供します。市場の有力企業、および株式のコアポートフォリオ自体がより少数の銘柄に集中する中で、Nasdaq-100®へのエクスポージャーは、利益成長と長期的な株式リターンを牽引する企業にターゲットを絞って投資する手段になり得ます。
市場の有力企業が一段と少数の銘柄に集中する中で、Nasdaqへの投資はポートフォリオと利益成長を牽引する企業との整合性を高める手段となり得ます。