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インサイト

投資前夜に読んで欲しいインサイト⑤投資と経済

ステート・ストリート日本オフィスの運用責任者が、インデックス・ファンドの仕組みをわかりやすく解説。納得して投資を始めるためのヒントをお伝えします。5回シリーズの最終回は投資と経済について。投資を始めるにあたり知っておいてほしい、経済の仕組みをお話したいと思います。

新原 謙介
取締役副社長 チーフ・インベストメント・オフィサー(CIO)

投資を始める前に知っておいて欲しいこと、最終回

これまで、インデックスファンドを理解するために、運用方法や指数の考え方、債券の仕組みについてお話ししました。今回は最終回です。あまり怖がらずに資産運用と向き合えるよう、世の中のお金と経済の仕組みを簡単に整理し、最後に、インデックスファンドの選び方、始め方、続け方についてのポイントをお話できればと思います。

経済の仕組みの大原則

大前提として、数十年という長期的視点で見ると、世の中の物価は上がる方向に動いています。便利なサービスが増え、技術が進歩し、人々の生活水準が上がることを、人や企業だけでなく、国や中央銀行も目指し、その結果、物やサービスの価格、人件費などが徐々に上がります。日本では「失われた30年」と呼ばれる長期停滞を経験しましたが、近年は物価上昇がはっきりと見える局面になってきました。本来物価は自然に上がるものだと考えて良いでしょう。

物価vs賃金vs預貯金?

私たちは物を買ったりサービスを受けるためにお金を使います。そのために多くの人は働き、賃金を受け取ります。賃金は銀行口座に振り込まれ預貯金として蓄積されます。ここで理解しておきたいのは、物価の上昇局面で、賃金や預貯金は必ずしも同じペースで上昇するわけではないという点です。賃金は業界動向や企業の制度に左右され、預貯金は政策金利などの影響を強く受けます。物価とは決まる仕組みが異なるのです。そのため、預貯金を中心に生活を支えてきた一般の労働者ほど、急な物価の上昇に戸惑いや不安を感じやすくなります。

日本で資産運用が浸透しなかった理由

他の先進国に比べ日本で資産運用が根付きにくかった理由として、1990年前後のバブル経済の崩壊がよく指摘されます。株価や不動産価格の暴落で多くの人が大きな損失を被り、「投資=怖いもの」という認識が広く共有されました。更にバブル崩壊以降、日本経済は長らく停滞し、物価が下落(デフレ)する環境に陥り、預貯金のみでも購買力を維持拡大できる環境が続いたことで、人々が積極的に資産運用する必要性を感じにくかったことも大きな要因と考えられます。終身雇用の概念や手厚い社会保障制度も投資を身近に感じにくい理由の一つかもしれません。

投資の始め方

投資を始める際には、「何のために」「どれくらいの期間」「どの程度リスクを許容できるか」をまず考えてみましょう。まだ将来のライフステージの変化が思い浮かばないかもしれません。もちろんそれでも構いません。その場合は現時点で、または毎月無理のない範囲で拠出できる額を検討してみましょう。多くの場合、一度にまとめて投資をするよりも定期的に積み立てる方が価格変動の影響を抑えやすくなります。興味があれば「ドルコスト平均法」と検索して仕組みを確認してみてください。

インデックスファンドの選び方

インデックスファンドは非常に数が多いですが、色々な切り口で候補を絞っていくことができます。切り口の例をご参考いただき、是非ご自身で探してください。恐らく複数の切り口を組み合わせても、候補となるファンドはたくさんあると思います。その中で、コスト(信託報酬・実質的コスト)、指数との連動性(指数にどれだけ忠実か=トラッキング)、運用体制(運用会社や運用責任者の実績等)を更に比較し選ぶと良いでしょう。

取り扱い金融機関について

尚、少し事務的なお話もしておきます。市場に上場されて取引されるETF(上場投資信託)は株と同じように証券会社で取引できますが、投資信託は主に販売会社となる証券会社や銀行などの金融機関がファンド毎に取り扱いを決めるため、金融機関により取り扱う投資信託が異なります。詳しくは取引を希望する金融機関、または購入を希望する投資信託を取り扱う金融機関をご確認ください。NISAやiDeCoを活用したい場合は、それらの取り扱いもファンドや金融機関により異なりますので注意が必要です。

資産運用の続け方

さて、実際に投資を始めた後も、長期投資の観点ではあまり頻繁な取引は必要ないかもしれませんが、ある程度興味を持って残高やファンドの値動き(基準価額の変化)を確認しましょう。ご自身のライフステージが変わったタイミングで商品や投資額を見直すことも有効です。また、想像以上に運用益が高く、追加投資を検討する場合も、ご自身の収入や資産に不相応な金額を投資“しない”という勇気ある判断も必要ではないかと思います。

最後に

よく言われることですが、資産運用は長期的な目線で向き合い続けることが大切です。特にインデックスファンドは世の中の成長の影響を受けながら値動きを続けるため、比較的長く付き合いやすい投資商品と言えるでしょう。このシリーズでは、皆さんが投資を自発的に、納得して始めていただけるよう、投資の中でも初心者の方が始めやすいインデックス運用に絞り、表面的にではなく、仕組みの根本を理解いただける内容を目指しました。このシリーズを通じて、これから始める投資が皆さんにとって意味のあるものになることを願っています。

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