2026年の中間選挙後に「ねじれ議会」となった場合、市場のボラティリティ、政策運営の方向性、そしてポートフォリオ戦略にどのような影響をもたらす可能性があるのかを考察します。
中間選挙まで残り9週間となる中、有権者は最も気になる課題に対する答えを求めています。生活費の高騰、経済政策、移民・国境警備、そして医療制度などがその中心です。
有権者の不満の高まりと過去の選挙パターンを踏まえると、ねじれ議会となる可能性が高まっています。この結果は、大規模な政策変更が起こりにくい状況につながることが少なくありません。
しかし、有権者が政治的な膠着状態を嫌う一方で、資本市場はむしろそれを好む傾向があります。立法面での予想外の変化が少なくなることで、政治ではなく企業業績や経済のファンダメンタルズがリターンを左右する要因としてより大きな役割を果たせるからです。
ワシントン(政治)が十分な成果を上げられていないことへの不満が高まる中、有権者は左右両極端の候補者を支持することに以前より積極的になっています。2026年の予備選挙では、共和党・民主党を問わず、現職議員が敗れた件数が1948年以来で最多となりました。1 世代交代の進展により、これまで現職議員が享受してきた優位性も薄れつつあります。また、有権者の約26%は、いわゆる「ダブルヘイター(両党嫌い)」であり、民主党と共和党の双方に否定的な見方をしています。これは過去最高の水準です。2
ベアード・ストラテガスによれば、過去10回の中間選挙および大統領選挙のうち9回で政権与党が交代しています。これは1878年から1896年の時期に並ぶ、米国史上最も高い政治的流動性を示すものであり3、ワシントンには恒久的な政策というものが存在しないことを物語っています。ある政権の大統領令は次の政権によって覆され、ある議会による増税は次の議会による減税へと置き換えられるのです。
世論調査や予測市場によると、11月の中間選挙で最も可能性が高いシナリオはねじれ議会の成立です(図表1)。これは決して大胆な予測ではありません。中間選挙では通常、大統領の所属政党が平均して約27議席を下院で失うとされており、複数の要因が与党に不利に働くからです。4
中間選挙は、大統領を選ぶ選挙というよりも、大統領をチェックするための選挙なのです。
もし11月に過去のパターンが繰り返されるならば、民主党は下院の過半数を奪還するのに十分な議席を獲得する可能性があります。民主党は勢いと高い投票率という追い風を受けていますが、上院で過半数を獲得するためには資金調達と選挙戦略の両面で厳しい課題に直面しています。そのためには主要な激戦州で全勝し、さらに少なくとも2つの共和党優勢州で議席をひっくり返す必要があります。民主党による上院多数派の実現は不可能ではありませんが、その可能性は依然として高くありません。
ねじれ議会は、解決策を求める有権者にとって引き続き不満やもどかしさの要因となるかもしれません。しかし、市場のボラティリティ上昇に備える投資家にとっては、新たな投資機会を生み出す可能性もあります。
投資家は2026年の大半を、不安材料の「壁」をよじ登るような状況の中で過ごしてきました。グリーンランド問題や関税政策から始まり、FRBの独立性を巡る議論、イランとの戦争懸念、原油価格ショック、インフレ、金利上昇、さらにはAIに対する懐疑論まで、多くの懸念材料が市場を取り巻いていました。それにもかかわらず、そのたびに市場は驚くべき回復力(レジリエンス)を示してきました。
しかし、その回復力は今後数週間で試される可能性があります。歴史的に見て、中間選挙の年は市場の変動が大きくなる傾向があります。ベアード・ストラテガスによると、中間選挙の年のS&P500指数の年中の最大下落率(イントライヤー・ドローダウン)は平均19%で、大統領サイクルの他の3年間の平均である12%を大きく上回っています。5
さらに、タイミングとしても厳しい局面を迎えています。例年、8月中旬から10月中旬は市場カレンダーの中でも特に変動が大きい時期とされています。9月はS&P500にとって歴史的に最もパフォーマンスが低い月であり、10月は最もボラティリティが高い月の一つです。中間選挙の年には、この季節的な不安定さがさらに強まる傾向があります。6
一方で、選挙後の1年間は歴史的に良好なリターンをもたらしてきました。S&P500指数は、1930年以来、中間選挙後の12か月間下落したことがありません。中間選挙後の平均株価リターンは約14%に達しています(図表2)。7
政治の不確実性は市場のボラティリティを高めます。しかし、歴史を振り返ると、選挙後の期間に市場にとどまり続けた投資家には報いてきました。
中間選挙は、すでに不確実性と地政学的緊張によって特徴づけられている2026年に、新たな不確定要素を加えることになります。しかし、ポートフォリオを構築・運用する上で重要なのは、誰が勝つかを予測することではなく、ファンダメンタルズに焦点を当てることです。
どのような選挙結果になったとしても、投資家にとってのメッセージは明確です。長期的な投資目標に集中し続けること、市場の変動局面でも規律ある投資姿勢を維持すること、そして選挙関連のニュースや結果によってポートフォリオの意思決定を左右されないことが重要です。