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米国から新興国市場に至るまで、AIおよび政策主導の成長に照準を定める

2026年のグローバル市場において最も影響力の大きい成長エンジンであるAIは、大型グロース株を中心に米国株の原動力となっているだけでなく、良好なマクロ経済環境とバリュエーションに支えられた新興国市場を押し上げています。一方、米国の金融緩和と規制緩和は、小型株や銀行などの景気敏感セクターにおいて投資機会を生み出しています。

人工知能(AI)はもはや遠い未来のディスラプター(破壊者)ではなく、グローバル市場において決定的な要因となっています。生産性の向上から勢力図の塗り替えに至るまで、AIは企業収益から政策決定に至るあらゆるものに影響を与えています。変化するマクロ環境下でレジリエンスを維持しながら成長を追求する投資家にとって、2026年にはAIがマクロ経済動向や政策の進展といかに関わっていくかを理解することが必要不可欠となるでしょう。

2026年の世界の企業利益は2桁成長が見込まれる一方で、バリュエーションは特に米国でパンデミック後の最高水準に近接しています。このため、わずかな見込み違いでも大きな影響を与える可能性があります。PER上昇が追加的な支援材料になるとは思えない中、焦点は利益成長とその背景にある成長を促す要因へと移っています。

AIは成長の中心的な原動力だが、唯一の原動力ではない

米国は経済成長と企業の利益成長の点で先進国をリードすると予想されますが、AIによる生産性向上は米国だけにとどまりません。特に新興国市場はAI主導による高い成長性を備えており、バリュエーションは広範なグローバル株式よりも妥当な水準にあります。

しかし、成長の原動力はAIだけではありません。財政拡張と継続的な金融緩和は、保護主義政策の高まりや地政学的不確実性による逆風を相殺する助けとなり得ます。

AIと政策による追い風を捉えるために、投資家は以下の点を考慮する必要があります。: 

  • AIによるイノベーションとAI普及を牽引するリーダー格の多様な米国グロース株
  • AIをめぐるセンチメントの改善、堅調な収益見通し、魅力的なバリュエーションを兼ね備えた新興国株
  • 金融緩和と規制緩和の恩恵を受ける米国の景気敏感株(小型株、銀行を含む)へのエクスポージャー

AIの追い風は、米国市場の主導銘柄を後押し

米国株式市場ほど、AIの影響が顕著に表れている市場はありません。2025年には、高い成長期待に見合う堅調なパフォーマンスに支えられ、グロース株がバリュー株をアウトパフォームしました。旺盛なAI需要とそれに伴う生産性向上が引き続き成長に拍車をかける中、こうしたトレンドは確固たる基盤に支えられています。

実際、関税引き上げや労働市場の軟化、消費者信頼感の低下などのマクロ面の逆風にもかかわらず、米国グロース株の2026年1株当たり利益(ESP)成長率予想は第3四半期初め以降、大幅に上方修正されています1

米国は依然として世界的なAIトレードの中心地となっています。超大型ハイテク株がこの勢いを牽引しており、AI投資と生産性革命の展望が株式パフォーマンスと成長への期待を下支えしています。

AIの普及が加速し、需要の指数関数的な伸びが供給ペースを上回る中で、AI関連の設備投資は堅調に推移すると予想されます。主要ハイパースケーラーによる2026年設備投資のコンセンサス予想は、2025年初めの3,140億ドルから25%急増して現在では5,190億ドルと、ChatGPT登場前の水準の3倍以上に達しています(図表1)。

S&P500グロース株指数のセクター配分で上位2セクターを占める情報技術(IT)と通信サービスはイノベーションを主導し、AIがもたらす早期メリットを捉えることで、過去2年間のS&P500企業の利益成長を牽引してきました。これらのセクターの勢いは、楽観的な業績見通しと業績予想の大幅な上方修正に支えられ、2026年も継続する見込みです。

マグニフィセント・セブンは過去3年間にわたり利益成長率で市場全体をリードしてきましたが、2026年には大型ハイテク銘柄とS&P500指数のその他のグロ-ス銘柄との格差が縮小すると予想されるため、投資機会が米国株式全体に広がる見通しです2

米国以外の先進国のAI導入は緩慢

米国ではAIが成長を促進する一方、他の先進国ではAI導入の規模とペースが依然として緩慢です。規制面の障壁、インフラ格差、企業のAI導入の遅れ、そして厳格なデータ機密保護法がAIによるイノベーションとAIの普及を遅らせています。さらに、分断化されたデジタルインフラや信頼できる電源・電力網の不足により、スケーラビリティ(拡張性)が制約を受けています。

ドイツの財政刺激策と日本の高市首相の下での財政拡張政策は、地域経済に成長をもたらす可能性はあるものの、米国以外の先進国の2026年の収益・GDP見通しは依然として低調です。こうした予測を達成または上回るには、財政改革の実行がカギとなります3

新興国市場:AIの勢いとマクロ経済の追い風

これとは対照的に、新興国市場は堅調な勢いで2026年を迎える見通しです。新興国株式は世界的な貿易摩擦や米国の政策をめぐる不確実性にもかかわらず、2025年に全地域をアウトパフォームした後、さらなる上昇に向けた態勢を維持しています。

2025年には米ドル安が追い風となった一方で、AI開発に対する前向きな見方、収益見通しの改善、バリュエーションの見直しが主な牽引役となりました。こうした追い風は2026年に入っても続き、貿易摩擦の緩和によって強化される見通しです。

以下の新興国は世界的なAIレースの主要プレイヤーです:

  • 中国はAIモデルの開発と国内の半導体技術を急速に前進させています。アリババの「Qwen3-Max」モデルのようなブレークスルーは、米国の主要モデルに対する競争力を浮き彫りにすると同時に、中国製半導体はAI開発を支える能力を高めています。中国は強力な政府支援と膨大な発電能力に支えられ、米国の優位性に挑戦する態勢にあります。
  • 台湾は、世界トップクラスの半導体エコシステムを通じてグローバルAIインフラを引き続き支えています。AI投資の加速に伴い、台湾は先端半導体に対する旺盛な需要の恩恵を受ける見込みです。
  • インドは、最終ユーザーのAI導入率で世界最高水準にあります。そのため、マイクロソフト、オープンAI、グーグルからの投資を呼び込んでおり、将来のAIインフラ拠点としてのインドの地位を確立しつつあります。

マクロ経済環境も次第に好転しています。世界の経済成長は2026年に安定化すると予想され、最も厳しい関税措置は過去のものとなりつつあります。このため、投資家心理は改善しています。米国の利下げによって、新興国の中央銀行では成長支援策を講じる柔軟性が高まる一方で、先進国の金融緩和による世界的な流動性の増加と米ドル安は、金融環境を改善し、これが新興国への資金流入を促し、債務返済コストの低下につながっています。

こうした改善は収益見通しにも反映されています。6月以降、アナリストらは新興国市場の60%近くで2026年予想EPS成長率を上方修正したため、新興国市場全体の利益見通しは米国以外の先進国市場を上回っています。(図表2)

こうしたファンダメンタルズの改善にもかかわらず、新興国株は先進国株に比べて大幅に割安な水準にとどまり、12カ月先予想株価収益率(PER)ベースで32%のディスカウントとなっています4。最近の市場評価の見直しは、新興国株のバリュエーション格差がさらに縮小し、勢いが強まる余地があることを示唆しています。

金融緩和と規制緩和は特定の景気循環株を後押し

AI関連のニュースが紙面を席捲していますが、2026年の市場を形成する要因はこれだけではありません。米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ制御から労働市場支援へと焦点を移すのに伴い、米国の金融政策は緩和的な方向に転換すると予想されます。雇用の伸びは鈍化しており、労働市場の指標は民間部門と政府部門の双方で軟化の兆しを示しています。労働市場は過去の景気後退期と比べると底堅さを維持していますが、景気減速はFRBによるさらなる金融緩和を正当化します。

小型株に妙味あり

借入コストの低下とリスクに関するセンチメントの改善は、過去1年にわたり大型株に出遅れてきた小型株に有利に働く見込みです。歴史的に見ると、小型株はFRBの利下げ後12カ月間に大型株を平均で6%アウトパフォームしており、ヒット率は72%となっています5

ボトムアップ分析による小型株のコンセンサス予想EPS成長率は20%と、大型株を大きく上回る中で、2026年の経済成長見通しの改善は、小型株のファンダメンタルズをさらに下支えする可能性があります(図表2)。

成長見通しに対する下方修正リスクは残るものの、小型株の足元のバリュエーションからは、市場が小型株に対して過度に弱気な見通しを織り込んでいることがうかがえます。小型株の12カ月先予想PERはパンデミック前の5年平均を12%、大型株を36%それぞれ下回り、過去20年で最大のディスカウントとなっています(図表3)。グローバル株式市場の中で、このような魅力的なバリュエーションで高い成長性を提供している分野はほとんどありません。

銀行株は反発の態勢に

バリェーションが魅力的な米国銀行セクターも金利低下と経済見通しの改善の恩恵を受ける見通しです。10月には地方銀行の貸出に関するニュース報道を背景に信用懸念が高まったものの、当セクターの第3四半期決算は以下の要因に支えられ、高水準の予想を上回りました:

  • 貸出の継続的な伸び 
  • 自社株買い
  • 安定的な資産の質
  • プラスの営業レバレッジ

追加利下げと貸出需要の継続的な回復によるイールドカーブのスティープ化は、2026年にかけての銀行の利益成長を後押しする見込みです。その結果、銀行セクターの予想EPS成長率は2025年と2026年の両年で13%以上上方修正されています6

政策の変化も銀行セクターに対する支援材料

トランプ政権の規制緩和策と規制環境の改善は、銀行の自己資本利益率(ROE)と業界統合をさらに後押しする可能性があります。

FRBの包括的資本分析・評価(CCAR)ストレステストと業界に配慮した米国版「バーゼルIIIエンドノート(最終化)」は、資本集約度の低下と資本投入における柔軟性向上につながる可能性があります。

一方、連邦預金保険公社(FDIC)と米通貨監督局(OCC)はバイデン政権時代の銀行合併政策を撤回し、承認プロセスを合理化する方法を模索しているため、2026年には銀行のM&Aが活発化する舞台が整います7

多次元な市場に対するポジションを構築

2026年は、2つの強力な要因が市場を決定づける見通しです。すなわち、AIによるイノベーションと政策主導によるマクロ経済の変化です。AIが生産性と企業収益を一変させる構造的な成長促進要因であることに変わりはありませんが、金融緩和と規制緩和は見逃してはならない景気循環に関連する投資機会をもたらします。

バリュエーションが割高な分野もあれば、大幅に割安な分野もあり、こうした乖離がリスクと機会を生み出します。AIに牽引された成長銘柄と政策の追い風を受ける銘柄を組み合わせる選別的なアプローチは、  急激に変化する市場の中でレジリエンスと上振れを求める投資家に対して明確な道筋を提供します。

セクター見通し:2026年のAI/景気循環銘柄のポジショニング

米国株式市場の集中度が過去最高に近い水準にあり、世界貿易・地政学・テクノロジーの構造的変化が景気循環の動向を一変させる中で、景気敏感、ディフェンシブ、グロースの各セグメントへの分散投資は、投資家が多様なマクロ経済環境の中で上昇局面を捉えつつ、ポートフォリオのレジリエンスを高める助けとなる可能性があります。

  • AIによるイノベーション:State Street®コミュニケーション・サービス・セレクト・セクターSPDR® ETF (XLC)コミュニケーション・サービスは、特にインタラクティブ・メディアとデジタル広告において、AIによるイノベーションとAI導入の最前線に立っています。コンテンツの自動生成や拡張可能なパーソナライゼーションからキャンペーンの最適化に至るまで、AIは事業運営の効率向上を推進し、広告主の投資収益率(ROI)を改善しています。 

    当セクターは過去2年間に高水準の成長期待を一貫して上回ってきました8。2026年に目を向けると、貿易をめぐる不透明感の緩和が広告支出をさらに押し上げ、継続的な成長を下支えする可能性があります。コンセンサス予想が控え目な1桁成長を見込む一方、当社は上振れサプライズを予想しています。重要な点として、堅調なパフォーマンスにもかかわらず、バリュエーションは歴史的な中央値を下回る水準にとどまり、AI主導の成長に対する割安なエクスポージャーを提供しています9

  • AIイネーブラー:State Street®公益事業セレクト・セクターSPDR® ETF (XLU) 公益事業セクターはディフェンシブなポジショニングと、電力需要増加に関連する構造的な成長を兼ね備えた類まれなセクターです。米国の電力消費量は数年にわたり伸び悩みましたが、AIデータセンターの拡大と製造業の国内回帰に支えられ、拡大する見込みです10

    これに対応して、公益企業は発電能力の増強に向けて設備投資を加速させています。これが、2026年を通じてトレンドを上回る利益成長を後押しする見通しです。2025年の大幅な株価上昇にもかかわらず、相対バリュエーションは過去15年間と過去5年間の中央値を下回る水準にとどまり11、魅力的な相対価値を提供しています。加えて、追加利下げ見通しと今なお続く経済の不確実性は、株価上昇余地を伴うディフェンシブな資産配分先として公益企業の魅力度を高める可能性があります。

  • 政策主導の循環銘柄State Street®資本財セレクト・セクターSPDR® ETF (XLI) 資本財セクターは防衛費の増加、電力インフラ投資の拡大、非防衛分野の資本財受注の継続的な回復から恩恵を受ける見込みです。同セクターの2026年利益成長率は18%に達すると予想され、これは全セクターで3番目に高い数値です12。航空宇宙・防衛産業も、大型減税・歳出法「One Big Beautiful Bill Act(OBBBA)」の下での防衛費増額に支えられ、引き続き主要な牽引役となっています。

    電力需要の増加は電気機器の成長に拍車をかける一方で、機械・陸上輸送は2桁のEPS成長を伴う回復が見込まれています。金融緩和と財政拡張を背景とする幅広い利益成長は、当セクターの高水準の絶対的・相対的な予想PERバリュエーションを正当化する可能性があります。

投資アイディア

米国大型グロース株を通じて、AI分野のリーダーシップと成長の広がりを捉える

AIの勢い、ならびに良好なマクロ環境と魅力的なバリュエーションという要因を兼ね備えた新興国市場に焦点を当てる

小型株と銀行株を通じて、金利低下と規制面の追い風により恩恵を受ける景気敏感セクターへのエクスポージャーを積み増す

執筆者

Bio Image of Michael W Arone

Michael W Arone

Chief Investment Strategist

共同執筆者

Bio Image of Anqi Dong

Anqi Dong

Global Head of Sector Strategy

Bio Image of Matthew J Bartolini

Matthew J Bartolini

Global Head of Research