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日米のセクター(業種)の違いについて知ろう

一口にセクター(業種)といっても、日本と米国ではその数や分類法などが異なっています。ここではその主な違いを見てみましょう。

日米のセクター(業種)の違い

米国のセクターは、「セクターについて知ろう」で触れた通り、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(S&PDJI)とMSCIが共同で開発した世界産業分類基準(GICS)を基に11のセクターに分類したものです。この大きな特徴として、世界中のアセット・オーナー、ポートフォリオ・マネージャー、および投資アナリストと多くの議論を重ねて開発されたと、S&PDJは語っています。その言葉通り、より「投資」を意識した産業分類ということができます。この分類は11セクターの下に、25の産業グループ、74の産業、163の産業サブグループが設けられています。

一方、日本では東京証券取引所に上場されている株式について、日本取引所グループの証券コード協議会が33業種に分類しています。この33業種は10の大分類を細分化した中分類に当たります。ここで使われる業種は、私たちが日本経済新聞をはじめとした経済メディア、株式投資家にとって必携の書ともいえる会社四季報などで使われており、なじみが深いでしょう。この分類の特徴は、各項目に含まれる事業の範囲は原則として総務省の定める日本標準産業分類による分類を基にしていることです。この日本標準産業分類は、統計を産業別に表示する場合の統計基準とされています。

こうした特徴に関連して、両者が大きく異なっている点は分類の方法論です。GICSは企業の売上高の大半を生み出している事業活動を最も正確に反映している産業サブグループに分類され、そこから11の上位セクターに分類される「ボトムアップ」の方式がとられています。一方で東証業種分類は、各事業の売上高の合計額が最も大きい大分類項目に属する中分類項目のうち、それに含まれる各事業の売上高が最も多いものとする、とされており、やや「トップダウン」方式となっています。

日本の企業を例に、個別企業が日米でどのように分類されるかの具体例を見てみましょう。

例えば日本では電気機器に分類されるソニーグループ。同社のAV機器の大手とされており、ゲームや音楽、映画といったエンタテインメント事業、画像センサーの製造などを行っています。こうした商品を製造していることから、東証33業種では製造業の中の電気機器に分類されています。一方、同社はニューヨーク証券取引所(NYSE)に米国預託証券を発行しており、米国でのセクター分類は「一般消費財」になっています。こうした違いは日立製作所でも同様です。トヨタ自動車も日本では製造業の中の「輸送機器」に分類される一方、米国預託証券の分類はEV大手のテスラと同様に「一般消費財」です。

このように日本では「何を製造し(仕入れ)て収益を上げているか」が分類の中心にある一方、米国は「何を売る(サービスする)ことで収益を上げているか」が中心となっています。高度成長期において製造業中心に経済発展を遂げてきた日本だけに、製造業重視の分類になっているということもできるでしょう。図表1と2で、日米それぞれのセクター(業種)分類表を掲出しました。中分類(産業グループ)を見ると、日米ではっきりと対応できるものがほとんどなく、日米の違いがより明確にわかるでしょう。

こうした違いが米国のセクター投資に直接的な影響を及ぼす可能性は小さいかもしれません。日本株、米国株に限らず、幅広くセクター投資を行う際には、こうした違いをよく理解し、日本株投資、米国株投資を行うことはより効率的なポートフォリオや投資戦略の構築の助けになるでしょう。

図表1:東証業種分類

業種
大分類中分類
水産・農林業水産・農林業
鉱業鉱業
建設業建設業
製造業食料品
繊維製品
パルプ・紙
化学
医薬品
石油・石炭製品
ゴム製品
ガラス・土石製品
鉄鋼
非鉄金属
金属製品
機械
電気機器
輸送用機器
精密機器
その他製品
電気・ガス業電気・ガス業
陸運業
海運業
空運業
倉庫・運輸関連業
情報・通信業
商業卸売業
小売業
金融・保険業銀行業
証券、商品先物取引業
保険業
その他金融業
不動産業不動産業
サービス業サービス業

出所:証券コード協議会、2003年6月2日時点。

図表2:GICS

セクター
セクター産業グループ
エネルギーエネルギー
素材素材
資本財・サービス資本財
商業・専門サービス
運輸
一般消費財・サービス自動車・自動車部品
耐久消費財・アパレル
消費財サービス
一般消費財・サービス流通・小売り
生活必需品生活必需品流通・小売り
食品・飲料・タバコ
家庭用品・パーソナル用品
ヘルスケアヘルスケア機器・サービス
医薬品・バイオテクノロジー・ライフサイエンス
銀行銀行
金融サービス
保険
情報技術ソフトウェア・サービス
テクノロジー・ハードウェアおよび機器
半導体・半導体製造装置
コミュニケーション・サービス電気通信サービス
メディア・娯楽
公益事業公益事業
不動産エクイティ不動産投資信託
不動産管理・開発

出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(S&PDJI)、2023年3月17日時点。

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