清水 英彦
運⽤部
ポートフォリオ・ストラテジスト
2021年9月29日
ESG(環境・社会・企業統治)やSDGs(持続可能な開発目標)をうたった投資商品について、本邦ではベンチマークに対する超過収益を追求する株式アクティブ戦略が注目を集める一方、米国を中心にベンチマークからの乖離を抑制したインデックス(パッシブ)型のESG運用への投資が拡大しています。
本稿では特にリスク管理の観点からインデックス型のESG株式投資に対する考え方を紹介します。
1. ESG特性の改善とベンチマークに対する乖離の抑制
ESG投資においては、ESGの観点で良好な銘柄に投資することでポートフォリオ全体のESG特性を改善することが主な目標の一つとなりますが、インデックス型の投資戦略にとってはベンチマーク(親指数)に対する乖離を抑制することで、市場並みの経済的なリターンを獲得していくことも重要なポイントになります。そのための仕組みとして、ESG指数はベンチマークに対する業種や国構成比の乖離の抑制や、推定トラッキングエラーをコントロールする仕組みをポートフォリオ構築プロセスに組み入れます。
2. ESG指数の手法と比較
ESG指数にはネガティブ(除外)スクリーニング、ベストインクラス、ティルト、最適化型など様々な手法がありますが、本稿では米国株を対象にリスク管理の観点で優れた最適化型と、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に採用されるなど本邦で普及が進んでいるESG指数の一つであるベストインクラス型を対象にその特徴を比較します。