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レジリエンスにフォーカスする ファクターの観点から考えるクオリティ投資

清水 英彦

運⽤部/
ポートフォリオ・ストラテジスト


  • クオリティは、二元的なバリュー対グロース論争や低リスク投資に新たな視点を提供。今後の市場や景気サイクルの観点で有効性が期待され、ESG投資の拡大も追い風となる可能性。
  • クオリティは、収益性と安定性にフォーカスしたディフェンシブなファクター。学術的には新しいファクター群に属するものの、バリュー投資において非常に古い実践の歴史。
  • バリュー、グロース、低ボラティリティなどの投資スタイルにクオリティを組み入れることは、リスク低減、ファクター分散、さらにリターン改善の観点でも有効。

2020年の新型コロナウイルスの感染拡大による市場混乱(コロナショック)とその後の政府、中央銀行の金融・財政支援策を受けた上昇局面において、代表的なディフェンシブファクターである低ボラティリティとクオリティのパフォーマンスは大きく明暗が分かれる結果となりました。図表1はMSCI Worldの最小ボラティリティとクオリティ指数について2020年の累積リターンを示したもので、前者が低ボラティリティ、後者がクオリティファクターの推移を示します。低ボラティリティは下落局面において有効な下値抑制効果を示しましたが、その後の上昇局面で市場ベンチマーク(MSCI World)に対して大きく劣後しました。クオリティは低ボラティリティと同様にダウンサイドで有効であった一方で、上昇相場でも市場に対する優れた追随能力を見せた結果、市場ベンチマークを上回るパフォーマンスを上げています。公衆衛生危機という新しい市場危機の中でレジリエンス(回復力)を示したことで、クオリティにはこれまで以上に注目が集まっています。

本稿ではこのようなクオリティの特性や有効性について、主にファクター投資の観点からレビューを行います。まず、クオリティに着目する4つの理由や背景を説明し、次に株式投資におけるクオリティの歴史や実践について紹介します。最後にクオリティを他のファクターやスタイルに組み入れることによる効用について議論します。