革新的な製品やソリューションを提供し、市場をリードする優良企業の発掘を通じて長期的なパフォーマンスを生み出すという当ファンドの戦略を体現する銘柄を紹介します。
シュナイダーエレクトリックは、収益が310億ユーロを超える世界有数の電気機器メーカーで、フランスに本社を置き、世界100ヵ国以上で事業を行っています。シュナイダーは、エネルギー・マネジメントとインダストリアル・オートメーションの2つのセグメントで事業を展開しています。2050年までのネットゼロ目標を達成するために電化とエネルギー効率化に向けた改修が必要な既存の建物の割合は、2020年の1%未満から2050年には85%程度に拡大すると予想されます5。
当社は、シュナイダーエレクトリックがイノベーターである理由は、同社が脱炭素化のための電化を長期的な成長機会としていち早く認識したからだと考えています。電気は炭素系資源以外から供給することができ、炭素排出を生み出さないため、世界の炭素排出量削減において重要な役割を果たすでしょう。シュナイダーは、持続可能性とエネルギー効率化ソリューションのプロバイダーとなるべく、ビジネスモデルの重点を見直しています。
過去10年間、シュナイダーは社内開発と買収を通じて大規模なソフトウェア投資を行ってきました。同社は、製品ポートフォリオを電気機器から「モノのインターネット」(IoT)アーキテクチャ(EcoStruxure)と産業設計・建設ソフトウェアへ拡大し、脱炭素化目標に向けて前進する顧客に包括的な電化・デジタル化ソリューションを提供しています。現在、シュナイダーの収益の約80%は電化に関連しており、同社は世界の資本財メーカーの中で電化に関連する収益の絶対額が最も大きい企業となっています。
シュナイダーは、持続可能性と脱炭素化ソリューションの分野をリードするグローバル企業として、FGCチームのCQフレームワークにおいて非常に高いスコアを獲得しています。電化とデジタル化に戦略的に注力することで、収益の内部成長率が同業他社を上回り、同社が掲げる目標を超える着実な利益率の改善も実現しつつあります。同社のハードウェアとソフトウェアを組み合わせたソリューションは、長期サービス契約を通じて経常収益の伸びを牽引しています6。またシュナイダーは、2025年までの社内業務のカーボン・ニュートラル化、2030年までのネットゼロ対応など、業界最高レベルの持続可能性に関する社内目標を設定しています7。同社の優れた実績は、マネジメントと市場ポジションのCQスコアに反映されており、投資コミュニティへのESGに関する強力かつ有効なメッセージは、CQスコアのESG要素に反映されています。
今後の電化の市場機会は非常に大きなものです。モルガン・スタンレーは、現時点での米国における電化の獲得可能な最大市場規模(TAM)を480億ドルと推定し、2040年には1,500億ドルにまで拡大する可能性があると予測しています8。欧州連合(EU)では、2050年のネットゼロ達成に向けてすべての商業ビルと住宅を電化した場合、地域の総電力需要がほぼ倍増します。この目標を達成するために電化とエネルギー効率化に向けた改修が必要となる既存建物の割合は、2020年の1%未満から2050年には85%程度に拡大すると予想されています9。
シュナイダーは、2021年11月の投資家向け説明会において、2024年までのコア収益成長率を5~8%とするという目標を掲げています。これは2017年から2021年までに記録したCAGR4.1%という業界最高水準の成長率を上回るものです。現在、同社の景気サイクルを通じた長期の持続可能なコア成長率目標は5%です10。電化市場がネットゼロ目標達成のための予測要件に従って発展すると仮定すれば、シュナイダーは長期的に非常に魅力的な競争力を持ち、同社の成長目標を達成または上回ることができるはずです。