革新的な製品やソリューションを提供し、市場をリードする優良企業の発掘を通じて長期的なパフォーマンスを生み出すという当ファンドの戦略を体現する銘柄を紹介します。
IQVIAは、医薬品開発業務受託機関(CRO)のクインタイルズと医療データベンダーのIMSヘルスが合併して誕生しました。クインタイルズの経営陣は、データと技術を活用することで、通常は手作業で労働集約的かつ非効率的なCROの分野に革新的な影響をもたらすことができると考えました。IMSヘルスは、世界最大級の医療データセットを保有していましたが、自社がその潜在能力を十分に引き出せていないと考えていました。両社が合併したIQVIAはデータに基づく差別化されたアプローチを臨床試験に活用しています。臨床試験実施施設の選定、患者登録、スタートアップの効率化が、臨床試験の迅速化と市場シェアの拡大につながっています。
もちろん競合他社も大量のデータを保有していますが、IQVIAのデータの幅と深さは比類がありません。IQVIAは、薬局、研究所、プロバイダーといった従来は隔離されていたプラットフォームからのデータを世界規模で統合しています。このデータは、1,000億件以上の医療記録、世界の処方箋の85%、100万件以上のデータ・フィード、年間2兆件以上のデータ・トランザクション、45ペタバイト以上の独自データを含むものです1。さらにIQVIAは、データを検索可能なデータベースに整理することによって、データを迅速かつ効率的に分析し、それに基づいて行動する能力を備えています。
では、この技術を駆使したアプローチは、実際にはどのような成果を上げているのでしょうか。従来の臨床試験の80%は遅延しており、その多くが被験者募集に関する課題によるものです。さらに、60%はプロトコールの修正が必要で、臨床試験の長期化とコスト増の原因となっています1。臨床試験の中で最も重要なのは施設の選定ですが、IQVIAのデジタル化されたアプローチは、施設選定と被験者募集の所要時間をそれぞれ33%と34%短縮しています2。当然ながら、これはバイオ製薬会社などの顧客に評価されており、市場シェアの獲得につながっています。
経営陣の先進的なアプローチと差別化されたデータ資産により、当社のCQフレームワークではマネジメントと市場ポジションが高得点を獲得しています。同社のレバレッジ比率はやや高いものの(純負債/EBITDA比率は3.9倍、過去12ヵ月の実績ベース)、CRO部門の売上残と従来のデータ・サブスクリプション契約のおかげで収益見通しは明確です(受注残は256億ドル、うち70億ドルは今後12ヵ月で収益化される予定)。2021年、世界の製薬業界は2,100億ドル以上を研究開発に費やしましたが3、その約50%相当はCRO業界に委託可能なものでした1。開発パイプラインには3万件以上の医薬品候補が存在し3、その60%はバイオ医薬品です4。成長の大部分は、自社で研究・臨床試験を実施するための人員やインフラが不足している小規模なバイオテクノロジー企業によってもたらされています。そのため、CROへの外部委託の浸透は今後も続き(現在は約50%)、業界のCAGR(年平均成長率)は6%になるとみられます1。IQVIAはその差別化されたアプローチにより、市場を上回るペースで成長する見込みです。