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株式ファクターの視点で考えるインフレ相場


清水 英彦

運⽤部
ポートフォリオ・ストラテジスト


世界的にサプライチェーンや労働市場における供給制約、季節や需給要因による資源高などを背景にインフレ率が上昇しており、足元ではインフレと景気低迷が同時に起こるスタグフレーションリスクが懸念されています。株式市場では特にリーマンショック以降、金融緩和や低インフレを背景とした適温相場、いわゆる「ゴルディロックス」相場が続き、成長性の高いグロース系の銘柄が選好される傾向にありましたが、本稿ではインフレやスタグフレーションというテーマに対して今後、有望と考えられるファクター投資戦略を検討します。

1. インフレとファクターのパフォーマンス

図表1に株式ファクターとして代表的なバリュー、モメンタム、クオリティ、低ボラティリティ、サイズにグロースを加えた5ファクターとインフレ率との関係性を示しています1。グロースは低インフレ(デフレ)期に、バリューは物価上昇期に堅調であり、それぞれのファクター特性を反映した対照的な結果となっています。クオリティや低ボラティリティなどのディフェンシブなファクターは特にインフレ期に堅調でこの期間に金利上昇などが株式市場に調整をもたらすことを示唆しています。またモメンタムやクオリティは比較的インフレ環境に依存しない傾向があることが確認できます。

インフレとファクターのパフォーマンス

2. 景気動向とファクターのパフォーマンス

図表2に株式ファクターと景気の関係性を示しました2。グロースは景気低迷期に有効なのに対してバリューは景気敏感な特性を示しており、ここでも対照的です。バリューと同様に景気敏感ファクターと考えられているサイズも回復期に有効で同様の傾向を示しています。ディフェンシブなクオリティと低ボラティリティはやはり景気悪化局面で有効で、特に低ボラティリティは景気の回復・拡大期と減速・低迷期のパフォーマンスの差が非常に大きくなっています。

景気動向とファクターのパフォーマンス

3. 今後の相場見通しと有望なファクター

足元ではゴルディロックス的な相場環境からインフレ相場への移行が予想されており、特に供給制約の長期化か解消によってリフレーションかスタグフレーション相場どちらへ移行するかが市場の関心を集めています。ファクターの観点ではゴルディロックス相場で有効であったグロースから、リフレ相場であればバリュー、スタグフレーション相場ではクオリティや低ボラティリティが有効と考えられることから、今後の相場見通しに合わせて、これらのファクターを取り入れた、または組み合わせた投資戦略が有効な選択肢となりそうです。

ゴルディロックスからインフレ相場への移行
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