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通貨安がアジア債券のリターンを押し下げ、利回りは上昇

iBoxx ABF汎アジア債券指数は、2026年9月に下落しました。米ドルベースのリターンは、為替ヘッジなしで-0.75%となり、為替ヘッジありの-0.43%を下回りました。同月は、為替変動が為替ヘッジなしのリターンを約0.31%押し下げました。

State Street Investment Management Fixed Income Portfolio Strategists

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市場概況

アジア債券は、香港(+52bp)、フィリピン(+40bp)、タイ(+18bp)、マレーシア(+16bp)、インドネシア(+14bp)、シンガポール(+11bp)、韓国(+9bp)など、ほとんどの市場で国債利回りが上昇したことから、幅広く下押し圧力を受けました。中国(-1bp)は、利回りが小幅に低下した唯一の市場でした。全体として、域内の利回り上昇が債券のリターンを押し下げたほか、為替変動がマイナスに寄与したことで、為替ヘッジなし指数は為替ヘッジあり指数を下回りました。

2026年第3四半期のiBoxx ABF汎アジア債券指数は、まちまちの結果となりました。米ドル換算の為替ヘッジなし指数のリターンは1.62%となり、約2.06%のプラス寄与となった良好な為替変動に支えられました。一方、米ドル換算の為替ヘッジあり指数は、現地通貨建て債券市場の軟調さを反映し、0.44%下落しました。

国債利回りは、香港(+79bp)、フィリピン(+69bp)、シンガポール(+43bp)、マレーシア(+41bp)、韓国(+30bp)、タイ(+27bp)で上昇し、債券市場のパフォーマンスに幅広い逆風となりました。インドネシアの利回りは四半期を通じて横ばいとなった一方、中国の利回りは小幅に低下(-5bp)し、一定の下支えとなりました。

金融政策面では、当四半期の域内の政策スタンスは総じて据え置きまたは引き締め方向となりました。韓国銀行は政策金利を累計50bp引き上げ3.00%とし、フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas)は政策金利を25bp引き上げ5.00%としました。香港金融管理局も、米国のフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標レンジの調整に合わせ、基準金利を25bp引き上げ4.25%としました。一方、マレーシア中央銀行(Bank Negara Malaysia)は翌日物政策金利を2.75%に据え置き、インドネシア銀行はBIレートを5.75%に、タイ銀行は政策金利を1.00%にそれぞれ据え置きました。シンガポールは引き続き為替レートをベースとする枠組みを通じて金融政策を運営しました。全体として、域内の政策環境は、インフレと金融安定への配慮が続く中、利下げではなく選択的な金融引き締めを特徴とするものとなりました。
 

市場現地通貨建てリターン為替リターン(FX)USDベースのトータルリターン
韓国-0.20%1.10%0.90%
中国0.30%0.20%0.60%
インドネシア-0.10%-0.70%-0.80%
シンガポール-0.90%-0.30%-1.30%
香港-1.40%-0.10%-1.60%
フィリピン-1.40%-0.60%-2.00%
タイ-1.20%-1.20%-2.40%
マレーシア-1.10%-1.30%-2.40%

*Please note that the returns shown above relate to the month of September 2026.

利上げを受けて韓国国債利回りが上昇
韓国(米ドル換算・為替ヘッジなし:0.9%)

韓国の10年国債利回りは、2026年9月に9ベーシスポイント上昇し、2026年第3四半期では30ベーシスポイント上昇しました。韓国ウォン建て債券のリターンは-0.2%となりましたが、為替が1.1%のプラス寄与となったことで、米ドル換算・為替ヘッジなしのリターンは0.9%に押し上げられました。製造業のモメンタムは四半期末にかけて強まり、購買担当者景気指数(PMI)は2026年8月の52.3から9月には53.9へ上昇しました。第2四半期の国内総生産(GDP)成長率は前期比(q/q)0.6%となり、消費者物価上昇率は2026年9月に前年同月比(y/y)2.9%へ上昇しました。労働市場は引き続き底堅く、季節調整済み失業率は2026年7月の2.8%から8月には2.7%へ低下しました。物価上昇圧力が続く中、経済活動が上向いたことを受け、韓国銀行は2026年8月に政策金利を25ベーシスポイント引き上げて3.00%とし、これを受けて国債利回りが上昇しました。

堅調な対外貿易が低調な内需を補完
中国(米ドル換算・為替ヘッジなし:0.6%)

中国経済のモメンタムは2026年第3四半期末にかけてやや上向いたものの、景気回復は引き続き緩やかで、ばらつきのある状況となりました。中国国債は当四半期に小幅に上昇し、10年国債利回りは5ベーシスポイント、2年国債利回りは1ベーシスポイント低下しました。この結果、イールドカーブは小幅なブル・フラット化(長期金利が短期金利よりも速いペースで低下すること)となりました。これは、緩和的な政策が継続されたことに加え、内需回復の持続性を巡る不透明感が残ったことが背景にあります。人民元も2026年第3四半期に対米ドルで約1.2%上昇し、1米ドル=約6.7人民元となりました。2026年第2四半期の経済成長は鈍化し、実質GDP成長率は前年同期比4.3%となり、第1四半期の5.0%を下回りました。より足元の指標はまちまちの状況を示しており、総合PMIは2026年9月に50.7まで回復した一方、非製造業景況指数は50.2に上昇し、経済活動全体が小幅に改善したことを示しました。サービス業の活動は2026年8月に前年同月比4.1%増加しました。しかし、小売売上高の伸びは0.4%と低調にとどまり、固定資産投資は2026年1~8月に7.2%減少し、内需および不動産関連投資の根強い弱さが浮き彫りとなりました。労働市場の状況は概ね安定しており、都市部の調査失業率は2026年1~8月に平均5.2%となりましたが、月次では主に季節要因を反映し、7月の5.2%から8月には5.3%へ小幅に上昇しました。対外貿易は相対的に底堅い成長の柱であり、2026年8月の輸出と輸入は人民元ベースでそれぞれ前年同月比18.6%、21.7%増加しました。2026年1~8月の財貿易総額は17.6%増加しました。インフレ圧力は強まったものの、消費者物価は抑制された水準にとどまり、総合消費者物価指数は2026年7月の前年同月比0.5%から8月には0.8%へ上昇し、コアインフレ率も1.0%へ小幅に上昇しました。生産者物価は、世界的なコモディティ価格の上昇、良好なベース効果、ハイテク分野の需要を背景に3.8%上昇しました。こうした環境下、中国人民銀行は緩和的な政策スタンスを維持し、2026年9月には1年物および5年物の最優遇貸出金利(LPR)をそれぞれ3.0%、3.5%に据え置きました。これで16回連続の据え置きとなりました。

インドネシアの成長と生産が改善
インドネシア(米ドル換算・為替ヘッジなし:-0.8%)

インドネシアの10年国債利回りは2026年9月に14ベーシスポイント上昇しましたが、四半期終盤の上昇によってそれまでの低下分が相殺され、2026年第3四半期を通じては横ばいとなりました。インドネシアルピア建て債券のリターンは-0.1%となり、為替が0.7%のマイナス寄与となったことで、米ドル換算・為替ヘッジなしのリターンは-0.8%となりました。製造業は再び拡大に転じ、PMIは2026年8月の49.8から9月には52.4へ上昇しました。2026年第2四半期のGDP成長率は、政府消費の拡大に支えられ、前年同期比5.3%、前期比3.7%となりました。消費者物価上昇率は2026年9月に前年同月比3.3%へ上昇しましたが、政府の目標レンジ内にとどまりました。インドネシア銀行は、成長見通しとインフレおよび通貨の安定性とのバランスを考慮し、2026年9月の政策金利を5.75%に据え置きました。

シンガポールの消費者物価が小幅上昇
シンガポール(米ドル換算・為替ヘッジなし:-1.3%)

シンガポールの10年国債利回りは2026年9月に11ベーシスポイント上昇し、2026年第3四半期では43ベーシスポイント上昇しました。シンガポールドル建て債券のリターンは-0.9%となり、為替が0.3%のマイナス寄与となったことで、米ドル換算・為替ヘッジなしのリターンは-1.3%となりました。製造業の状況は引き続き良好で、PMIは2026年8月の51.5から9月には51.7へ小幅に上昇しました。2026年第2四半期のGDP成長率は前年同期比5.9%となりました。総合消費者物価上昇率は2026年7月の前年同月比2.2%から8月には2.3%へ上昇し、コアインフレ率も、サービス、食品、小売価格の上昇を背景に2.0%から2.2%へ上昇しました。労働市場は引き続き堅調で、全体の失業率は2026年6月に1.9%で横ばいとなりました。一方、2026年第2四半期には居住者の雇用の伸びが鈍化し、人員削減が増加しました。シンガポール金融管理局は、引き続きシンガポールドルの名目実効為替レートを用いた枠組みを通じて金融政策を運営しました。

香港債券利回りが急上昇、米国の動きを反映
香港(米ドル換算・為替ヘッジなし:-1.6%)

香港の10年国債利回りは2026年9月に52ベーシスポイント上昇し、2026年第3四半期では79ベーシスポイント上昇しました。これは対象市場の中で最大の四半期上昇幅となりました。香港ドル建て債券のリターンは-1.4%となり、為替が0.1%のマイナス寄与となったことで、米ドル換算・為替ヘッジなしのリターンは-1.6%となりました。民間部門の活動は引き続き低調で、PMIは2026年8月の49.5から9月には49.2へ低下しました。2026年第2四半期のGDP成長率は、堅調な対外貿易と底堅い内需に支えられ、前年同期比4.3%となりました。一方、季節調整済みでは、GDPは前期比0.6%減少しました。総合インフレ率は2026年8月に1.7%となりました。季節調整済み失業率は、2026年5~7月の3.7%から、6~8月には3.8%へ上昇しました。香港金融管理局は2026年9月に基準金利を25ベーシスポイント引き上げ、4.25%としました。これは、香港ドルの対米ドルでの安定維持を目的とする連動為替相場制度に沿ったものです。

フィリピンでは根強いインフレが継続
フィリピン(米ドル換算・為替ヘッジなし:-2.0%)

フィリピンの10年国債利回りは2026年9月に40ベーシスポイント上昇し、2026年第3四半期では69ベーシスポイント上昇しました。フィリピンペソ建て債券のリターンは-1.4%となり、為替が0.6%のマイナス寄与となったことで、米ドル換算・為替ヘッジなしのリターンはさらに低下し、-2.0%となりました。製造業の状況は大幅に悪化し、PMIは2026年8月の54.9から9月には49.6へ低下しました。2026年第2四半期のGDP成長率は前年同期比2.3%となりました。サービス業と農業の成長は、鉱工業の縮小と総資本形成の9.2%減少によって一部相殺されました。総合インフレ率は、主に食品、住宅・公益サービス、運輸コストの上昇を背景に、2026年8月の6.1%から9月には7.2%へ加速しました。失業率は2026年8月に5.3%となりました。インフレ圧力の高まりを受け、フィリピン中央銀行は2026年8月に政策金利を25ベーシスポイント引き上げ、5.00%としました。

タイの製造業活動が加速
タイ(米ドル換算・為替ヘッジなし:-2.4%)

タイの10年国債利回りは2026年9月に18ベーシスポイント上昇し、2026年第3四半期では27ベーシスポイント上昇しました。タイバーツ建て債券のリターンは-1.2%となり、為替が1.2%のマイナス寄与となったことで、米ドル換算・為替ヘッジなしのリターンは-2.4%となりました。製造業は引き続き相対的に明るい材料となり、PMIは2026年8月の53.8から9月には54.3へ上昇しました。一方、経済全体のモメンタムは2026年第2四半期に鈍化し、GDP成長率は前年同期比1.9%となったものの、前期比では0.2%減少しました。民間投資は伸びが加速した一方、個人消費、政府支出、財輸出の伸びは鈍化しました。総合インフレ率は、国内の燃料価格と食品価格の上昇を反映し、2026年9月に前年同月比2.8%へ上昇しました。失業率は引き続き低水準にあり、2026年7月の1.1%から8月には1.2%へ上昇しました。タイ銀行は2026年8月に政策金利を1.00%に据え置きました。

経済活動は堅調なモメンタムを維持
マレーシア(米ドル換算・為替ヘッジなし:-2.4%)

マレーシアの10年国債利回りは2026年9月に16ベーシスポイント上昇し、2026年第3四半期では41ベーシスポイント上昇しました。マレーシアリンギット建て債券のリターンは-1.1%となり、通貨安による為替のマイナス寄与が1.3%となったことで、米ドル換算・為替ヘッジなしのリターンは-2.4%となりました。製造業の状況は軟化し、PMIは2026年8月の50.2から9月には49.9へ小幅に低下し、わずかな縮小を示しました。それでも、経済全体は堅調なモメンタムを維持しました。2026年第2四半期のGDP成長率は、国内消費と輸出の拡大に支えられ、前年同期比6.0%、前期比2.5%となりました。総合インフレ率は2026年第2四半期に1.9%となり、失業率は3.0%と低水準を維持しました。堅調な成長と抑制されたインフレを背景に、マレーシア中央銀行は2026年9月に翌日物政策金利を2.75%に据え置きました。

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