投資家が⾦へ投資をし、期待される様々な恩恵を享受するには、いくつかの選択肢があります。ETF、投資信託、⾦塊や⾦貨、⾦鉱株あるいは金の金融派生商品(デリバティブ)や金裏付け型ステーブルコインといった⾦への異なる投資⼿段について、利点や留意点について理解を深めることは、どの選択肢が⾃⾝の投資目標に最も適しているかを⾒極める上で役に⽴つはずです。
金を裏付けとする上場投資信託(ETF)
金を裏付けとする上場投資信託(ETF)は、投資家に主要取引所での日中取引可能性、金の現物価格に対する低いトラッキングエラー、規模による流動性といった極めて効率的な金への投資手段を提供します1。過去5年間、ステート・ストリートの金を裏付けとするETFを筆頭とするETFチャネルは総資産の増加や取引量の拡大と著しい成長を遂げ2、今やETFが金へのエクスポージャーを得るためにあたって、確立された主流のアクセスポイントとなっているかを浮き彫りにしています。
また、⾦ETFはポートフォリオにおけるエクスポージャーのリバランスや構築にも耐えうる厚みのある流動性を提供しています。⼀⽅で、全ての⾦ETFが同じ仕組み(⾦地⾦に限定して投資)であるとは限らないため、ETFの保有資産を慎重に確認し、ポートフォリオに現物の⾦がどの程度組込まれているかを⾒極める必要がある点を認識しておくことが重要です。これは、⾦⾃体への投資配分⽐率が低い⾦鉱株ETFや⾦投資信託と⽐較する際に、特に当てはまります。
金投資信託
金投資信託は、⾦ETF同様、⽇次流動性を提供するものの、取引所の⽇中価格で売買することはできません。さらに、運⽤ポートフォリオに⾦を組込んでいる多くの投資信託は、⾦のみに投資しているわけではなく、そのため⾦の価格変動に連動しなかったり、⾦を保有することで期待される多様な利点を完全には享受できない可能性があります。投資信託は、多くのETFと⽐べて総経費率が⾼い傾向も⾒られます3。
金鉱株、金鉱株ETF
金鉱株、金鉱株ETFも、投資家が⾦のエクスポージャーを取るための⼿段の⼀つです。しかし、⾦鉱株への投資は、⾦地⾦そのものや⾦を裏付けとするETFへの投資と同じではありません。これらは⾦採掘業に投資するのであって、そうした企業は、事業の収益性、事業管理、フリーキャッシュフロー、業界内の競争、その他財務および経営上の判断など、⾦価格以外の特定の要因から影響を受ける場合もあります。
金塊と金貨
金塊と金貨は、依然として、世界中の投資家が⾦にアクセスするのに最も⼈気のある⽅法です。しかし、その習慣は変わりつつあります。現在、世界の金ETFは3,839トンの金4を保有しています。金を裏付けとするETFの動きはあるが、より多くの投資家が金の配分にETFを選択しています。⾦塊や⾦貨の保有は、実物の所有であるため透明性が極めて⾼いものの、投資家は購⼊に際して市場価格にプレミアムを上乗せした価格を⽀払わなければならないことがしばしばあります。また、⾦塊や⾦貨の直接保有においてはコストと流動性の問題が新たな要因に加わり、保険、輸送、保管などにかかる各費⽤は投資家が潜在的に獲得が見込まれるリターンに影響を及ぼしかねません。
金先物
金先物は、特にレバレッジ(借り入れ)や戦術的なポジショニング、またはヘッジの柔軟性を求める洗練された投資家にとって、価格変動リスクへのエクスポージャーを得るために確立された別の手段を提供します。COMEX(ニューヨーク商品取引所)のような規制された取引所で取引される先物取引は、差金決済または現物受渡による決済を行う標準化された契約を提供します。
⾦先物は現物の裏付けがなく、また決済⽇が定められており、保有者が⾦のエクスポージャーを維持するには限⽉に応じて建⽟をロールオーバーしなければなりません。⾦先物は⼀般的に⼤⼝で取引されており、取引量の⼤きさから売買⼿数料は低いものの、エクスポージャーを維持するための総コストを判断する際には関連する売買⼿数料やロールオーバーにかかるコストを考慮する必要があります。
近年、先物取引量は2010年代や2020年代初めに観測されたピーク時と比較して減少しています5。この減速は投機的な参加の減少や一部の機関投資家の取引活動がETFやOTC商品へ徐々に移行していることを反映しています。取引量の縮小にもかかわらず、先物市場は価格発見機能の中心的な役割を果たし続けており、短期的なエクスポージャーやポートフォリオのヘッジ手段として重要なツールであり続けています。
店頭(OTC)金市場
店頭(OTC)金市場は、ロンドンを中心に、金融機関間での大規模でカスタマイズされた取引を可能にすることで、上場取引型金融商品(ETP)や先物取引を補完する役割を担っています。ほとんどの決済は現金決済か、金価格を基準価格として使用しています。取引は通常、双務契約を通じて行われ、しばしば主要な金地金銀行が管理する未割り当て金口座が関与します。
最近のデータでは、取引所での先物取引が軟化している一方で、OTC取引量が増加していることを示しています6。この増加は決済方法や機密保持を個別に調整することを好む中央銀行、ソブリン・ファンド、機関投資家による特注契約の利用拡大を反映しています。OTC取引活動の拡大は金需要のグローバル化が進行中であることを裏付けるとともに、金市場の流動性が複数の取引プラットフォームに分散化しつつある現状を浮き彫りにしています。
金裏付け型ステーブルコイン
金裏付け型ステーブルコインは、安全な保管庫に保管された実物の金の所有権を表すデジタルトークンです。特に仮想通貨(暗号資産)に親しみのある投資家は、オンチェーン(ブロックチェーン上で直接記録・処理される取引)として金価格に直接的にエクスポージャーを得られます。各トークンは特定の量の現物の金と連動しており、通常は金自体、もしくは現金と交換可能です。
主な利点は、これらのトークンがいつでも取引可能で、小口に分割でき、広範な暗号資産システムで容易に利用可能な点です。しかし、金を発行または保管する企業の信用が失われる場合、投資家は依然としてリスクに直面します。信頼が低下した場合、トークン価格が実際の金価値と乖離する可能性があります。
より広い意味で、金を裏付けとするステーブルコインはデジタル金融と現物の金市場との間の新たな架け橋になります。これらのトークンが現物の金によって完全に裏付けられている限り、従来は金に投資しなかった新たな投資家層を呼び込む可能性があります。現時点では業界規模は非常に小さいものの、将来的には金地金や金ETFの伝統的な需要を補完する役割を果たすことが期待されます。
金のエクスポージャーとしてETFを選択する
多くの投資家にとって、⾦ETFが他の投資⼿段よりも説得⼒があるのは、特にアクセス性、透明性、コストといった点で強いと思われます。ETFは他の選択肢と⽐較して柔軟性が⾼く、総コストは低い傾向にあり、これに関しては⾦ETFも例外ではありません。
金ETFは、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズがLBMA午後金価格に連動するように設計された米国初の現物に裏付けられた金ETFであるSPDR®ゴールドシェア(GLD®)を設定した2004年以来、新しい投資手段として、また運用資産残高の点で記録的なレベルに成長しました。金を裏付けとするETFを通じた金投資は、運用資産総額が5,030億米ドル(約77.4兆円)にまで増加しました7。
グローバルリーダーとのパートナーシップ
2004年11月、ワールド ゴールド カウンシルはSPDR ETFと組み、米国初の現物の金を裏付けとする上場投資信託であるGLD®を上場させました。GLDの登場により、投資家はポートフォリオに金を保有することが容易になり、かつコスト効率が高くなりました。それ以来、GLDの運用資産は1,340億ドルを超え8、世界最大かつ最も流動性の高い金ETFとなっています9。 2018年には、低コストで金を裏付けとするETFであるGLDM®を設定し、投資家の需要を満たす革新的な低コストのソリューションを提供しました。
どちらのETFも現物の金に裏付けられたETFであり、比較的コスト効率が高く、流動性の高い方法で金地金市場へのアクセスを提供します。当社が提供する金ETFの詳細について以下からご確認いただけます。
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