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ETFの基礎知識

ETFと投資信託:類似点と相違点のガイド

上場投資信託(ETF)と投資信託には類似点が多くある一方、この2つの金融商品には重要な違いもあります。ETFと投資信託の違いをよりよく理解することで、自分の目的にあったポートフォリオを構築することができるようになります。

ETFと投資信託の共通点

プロによる運用と管理

  • ETFも投資信託も、いずれも個々の株式や債券などから構成される、プロフェッショナルが運用するポートフォリオです。ファンドマネージャーは、ファンドの目論見書に定められたガイドラインに従って、ファンドの保有資産を選択し、運用します。プロに運用を委託することで、運用者の専門知識を活用できるだけでなく、同等の投資を行うにあたって必要な調査な時間や手間などを節約できます。

さまざまな投資オプション

  • 投資家がその投資目標を達成するために設計されたETFや投資信託は、数千に及びます。投資信託協会によると、2025年9月末時点で公募投資信託は5839本、このうち349本がETFとなっています。1これらの商品はグローバル市場へのアクセス、またはアクセスが困難な市場への投資など、さまざまな目的に対応しています。例えばバランス型のファンドで幅広い資産に投資したり、高利回り債券ファンドで保有益に焦点を当てたり、セクターや業界に特化したファンドに投資したりと、あらゆる選択肢から選ぶことができます。

分散投資

  • ETFや投資信託は1つの商品で数百、あるいは数千の個別株式や債券を保有することができ、分散投資のメリットを得られます。

ETFと投資信託の主な相違点

購入する窓口

  • 投資信託はその取り扱いがある証券会社、銀行や郵便局などの販売会社を通じて購入ができます。一方、ETFは証券取引所に上場しており、証券会社(窓口ないしオンライン)で購入できます。なお、証券会社によってはETFを取り扱っていないところもあるため確認が必要です。

購入価格の決まり方

  • 投資信託は1日1回、ファンドが保有している資産の時価評価から費用を差し引くなどして基準価格が算出されます。ETFは上場しているため、株式のように取引時間内は随時市場価格が変動します。

注文方法

  • 投資信託は基準価格が公表されるのは投資信託の取引の申し込みを締め切った後になります。投資家は当日の基準価格がわからない状況で取引を行うことになり、ブラインド方式と呼ばれています。
  • 注文に際し、口数もしくは金額を指定します。口数指定の場合、基準価格が注文時点では算出されていないため、実際の購入金額が予想よりも高くなる可能性もあります。また金額を指定した場合でも、購入した口数を注文時に把握することはできません。
  • ETFはリアルタイムで注文ができ、売買の成立を優先させる成行注文が可能である他、希望価格を決めて売買する指値注文が可能となっています。

売買する際の手数料

  • 投資信託では、投資信託ごと、販売会社ごとに手数料は異なります。購入時には購入時手数料がかかる場合があります。ただし、NISAの積み立て投資枠対象の投資信託は購入時手数料がかかりません。
  • 投資信託によっては、売却時に信託財産留保額と呼ばれる手数料がかかるものもあります。
  • ETFは証券会社や銘柄によって異なりますが、委託手数料という形で売買手数料がかかる場合があります。

運用中にかかる費用

  • 投資信託、ETFともに運用中に信託報酬がかかります。一般的にはETFの方が投資信託と比べて信託報酬が低い傾向にあります。

分配金

  • 投資信託には運用益から支払われる普通分配金と、元本から支払われる特別分配金があります。特別分配金は元本払い戻しのために非課税となっています。また、投資信託の場合、分配金を現金で受け取ることも、自動で再投資することも可能です。
  • ETFは収益のみが対象で普通分配金はありますが、特別分配金はありません。また、分配金の自動再投資は行われず、すべて現金で受け取ることになります。例えば同じ銘柄を積み増しする場合には、新規で買い付けを行う必要があります。

最低購入金額

  • 投資信託は一般的には1万円程度からとなっていますが、購入窓口によっては100円程度から購入できるなど異なる場合があります。ETFは一取引単位は市場価格によってことなり、多くは10万円程度の資金が必要との指摘もあります。2

信用取引の有無

  • 投資信託は信用取引はできませんが、ETFは可能です。
     

図表1:投資信託とETFの主な相違点

  投資信託 ETF
購入できる窓口 証券会社、銀行、郵便局など各投信の取り扱いのある販売会社 証券会社
購入する価格 1日1回、基準価格を算出 取引時間内の需給によって市場価格は変動
売買注文の方法 ブラインド方式(基準価格がわからない状態で注文) リアルタイムで注文。成行注文や指値注文が可能
売買する際の手数料 投信ごと、販売会社ごとに異なる。購入時や売却時に手数料がかかる場合も。NISAつみたて投資枠対象の商品は購入時手数料がかからない。 証券会社や銘柄によって異なるが、委託手数料がかかる場合がある
運用にかかる費用 信託報酬(一般的には投資信託の方が高い傾向) 信託報酬(一般的にはETFの方が低い傾向)
分配金 普通分配金と特別分配金。後者は元本払い戻しのため非課税。自動再投資が可能。 普通分配金のみ。自動再投資は不可
最低購入金額 一般的には1万円程度から。購入窓口によっては100円程度から購入できる場合もある 1取引単位は市場価格によってことなる。多くは10万円程度の資金が必要
信用取引 できない できる

出所:ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント、投資信託協会

ETFと投資信託、どちらが自分に適しているか?

  • ETFも投資信託も、いずれも個々の株式や債券などから構成されるプロフェッショナルが運用するポートフォリオで、運用者の専門知識を活用できるだけでなく、時間と手間を節約できます。また、一つの商品で分散投資を行うことは大きな共通点です。
  • 相違点を踏まえると、ETFについては例えば自分のタイミングで価格を指定して取引したい人、コストを抑えたい人や信用取引を利用したい人などが向いていると言えます。一方、投資信託は分配金を自動で再投資したい人、機動的に取引がしづらい環境にある人、またなるべく投資金額を抑えて始めたい人などが向いていそうです。3
  • 自分のライフスタイルや投資環境に合わせて、ETFや投資信託の購入を検討するのがよいでしょう。