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ETFの基礎知識

ETFにリスクはないのでしょうか? 考慮すべき4つの要因

答えはノーです。

しかし、もっと詳しい説明が必要ですね。

確かに、ETFはしばしば、最も安全でシンプルな投資方法の1つとして推奨されています。それには十分な理由があります。ETFは数十年前から存在し、あらゆる形態や規模の市場に低コストでアクセスできる手段を投資家に提供してきました。ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントは1993年に米国初のETFを立ち上げた実績があり、現在も堅調に推移しています。

リスクのない投資手段は存在しません。ETFが長い年月をかけてその価値を証明してきたとはいえ、投資する前には潜在的なリスクについて考慮することが依然として重要です。

1.流動性リスク:一部のETFは取引が活発でないため、売買が困難になる(また場合によっては割高になる)可能性があります。
2.トラッキングエラー:ETFのパフォーマンスは、連動する指数と完全に一致するとは限りません。
3.複雑性リスク:一部のETF(レバレッジ型やインバース型など)は複雑で、予想外の値動きをすることがあります。
4.運用終了のリスク:他の投資商品と同様に、ETFも十分な資産を集められない場合には運用を終了することがあります。

ETFのリスクを左右する要因

ETFは手軽に投資できるように設計されていますが、無敵というわけではありません。負担するリスクのレベルは主に、ETFの運用対象と活用方法によって決まります。では、ETFのリスクに影響を及ぼす最も一般的な要因にはどのようなものがあるでしょうか。

流動性リスク

一部のETFは毎日数百万株が取引されるため、適正価格での売買がしやすくなっています。例えば、SPDR® S&P 500® ETF(SPY)は、世界で最も流動性の高いETFです1。しかし、すべてのETFがこれほど活発に取引されているとは限りません。ニッチなファンド、例えば航空会社に特化した小規模なETFなどは、買い手と売り手がそれほど多くないことがあります。

その場合、ビッド・アスク・スプレッド(買い手が支払ってもいいと考える価格と売り手が求める価格の差)が大きくなります。取引が不可能になるわけではありませんが、多少の追加コストが発生する可能性があります。

これをイメージするために、大型ETFの売買を大型店舗での買い物に例えてみましょう。店舗には豊富な在庫があり、品揃えも充分で、競争力のある価格が付けられています。一方で、出来高の薄いETFを取引するのは、町中にある小規模店舗に似ています。欲しいものは見つかるかもしれませんが、価格が高く、選択肢も限られている可能性があります。

トラッキングエラー

指数連動型ETFは、特定の指数のパフォーマンスに連動するように設計されています。しかし実際には、必ずしも完全に一致するとは限りません。手数料、取引コスト、またはETFが指数を再現する方法などによるわずかな差異が、いわゆるトラッキングエラーを生み出す可能性があります。

大半の一般的なETFでは、トラッキングエラーはわずかであり、通常は1パーセント未満です。それでも、指数連動型ETFがインデックスのパフォーマンスと完全に一致しない理由を理解する上で考慮する価値はあります。

複雑性リスク

  • レバレッジ型ETF:指数の日次リターンを(2倍、3倍に)拡大することを目指します。
  • インバース型ETF:指数のパフォーマンスと逆の動きをするように設計されています。
  • オプションベースETF:オプション戦略(カバードコールやバッファーなど)を活用し、収益を生み出す、またはダウンサイドリスクを抑制します。
  • 上場投資証券(ETN):指数に連動するストラクチャード・デット商品であり、発行体の信用リスクが伴います。
  • コモディティETFや通貨ETF:直接所有ではなく、先物契約やその他デリバティブを組み込むケースがあります。

これらのタイプのETFは有用なツールとなり得ますが、それぞれの戦略を日常的に活用するプロの投資家向きと言えます。ほとんどの個人投資家にとっては、シンプルなインデックス型ETFから始めるのが望ましいアプローチと言えます。

運用終了のリスク

ETFも十分な資産を集められない場合に運用を終了することがあります。とはいえ、運用終了はそれほど頻繁に起こるわけではありません。例えば、2024年には米国で193本2のファンドが運用を終了しましたが、世界全体では1万本を超えるETFが取引されています3。運用終了となった場合、ファンドは清算され、投資家は通常、保有株式の現金価値を受け取ります。投資額すべてを失うことはないでしょうが、清算時にキャピタルゲインが支払われれば、税金が頭痛の種となる可能性があります。

ETF投資家がリスクを管理する方法

他の投資と同様にETFも無リスクではありませんが、幸いなことに、こうしたリスクを管理する簡単な方法があります。以下でいくつかの戦略をご紹介します。

  • 分散、とにかく分散。すべての資金を1つの国や資産クラス、セクターやテーマにつぎ込むのはルーレットのようなものです。つまり、大当たりする可能性もあれば、大負けする可能性もあるということです。幅広い市場をカバーするETFをベースまたは 「コア」ポジション とし、より具体的なアイデアやテーマに小規模な配分を行うのが有効です。
  • 保有資産の内容(および保有する理由)を把握する。大半のETFは保有銘柄を日々公開しています。時折、ETFの中身を確認し、どの銘柄がパフォーマンスを牽引しているのか把握しましょう。そして、同じくらい重要なのが、自身の目標はもちろんのこと、その目標の達成に投資がどう貢献するかを文書化しておくことです。
  • 流動性を確認する。規模が大きく実績のあるETFは一般的に スムーズ かつ低コストで取引できます。
  • ファンドの規模に着目する。規模が小さく、設定から日が浅いETFは運用が終了するリスクが高い傾向があります。運用終了に伴う手間を回避するには、運用実績が長く、運用資産総額(AUM)の大きいファンドに的を絞るのが効果的です。
  • 目標を見据えて投資する。投資家一人ひとりの歩みは異なります。自分の目標(長期、短期、あるいはその中間)を明確に定めることは、自分に合ったETFを選択するのに役立ち、市場が変動した場合でも集中して投資を続けることができます。

これらの手順を踏むことで、予期せぬ変動の影響を最小限に抑えつつ、目標達成に向けて自信を持ってETFを活用できます。

ファイナンシャルゴール(資産形成における目標)達成の最初の一歩はここからはじまります

確かに、ETFを選ぶのはとても大変なプロセスに感じられることでしょう。昨今の投資家には、数千もの選択肢が溢れています。そこで、「何に投資すべきか?」と悩むのではなく、「私が目指す目標は何か?」と問いかけてみることをおすすめします。