Skip to main content

「責任ある機関投資家」の諸原則に関する表明と自己評価

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社は、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(以下「SSGA」または「当社」)の一員として、日本市場における「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫(2020年改訂版)で体系化されている、規範的スチュワードシップ原則を強く支持します。SSGAは、投資対象企業の取締役会や経営陣との強固な関係構築と、企業のパフォーマンスを監視していくことが、持続可能な成長とSSGA顧客の投資資産の長期的価値向上に繋がると信じています。

当社における「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫への取り組み

原則1:機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し、これを公表すべきである

当社グループのアセット・スチュワードシップ・チーム(グローバル)では、エンゲージメントに対する理念、アプローチ、プロセスの透明性を高めるため、「発行体エンゲージメント・プロトコル」を設けております。このプロトコルは、当社のエンゲージメント活動の目的を明示し、エンゲージメントにおいて当社が求める条件を投資先企業により深く理解してもらうことを目的としております。

以下はプロトコルで定める主要なエンゲージメント方法です。

  • 年間エンゲージメント戦略策定に関する方法論
  • エンゲージメント・リクエスト・メールに記載すべき情報
  • R-Factorスコアのリクエスト方法に関する情報
  • 投資先企業との関わり方に関するガイドライン
  • 反対票を集める活動や株主提案に関して、当社の議決権行使を求めるアクティビストまたは投資家との関わり方に関するガイドライン
  • 投資家のエンゲージメントに関するプロトコルガイダンス

発行体エンゲージメント・プロトコルの全文はこちらをご参照ください。

当社グループでは、アセット・スチュワードシップ・チーム(グローバル)の戦略的なレビュー・プロセスの一貫として、同プロトコルの見直しを毎年行っており、企業との効果的で有意義な対話の確保に努めております。この見直しプロセスでは、評価モデルにおける指標の見直しや、新たなESG課題やトレンドの評価も行っております。

投資先市場の文化や規制背景を考慮し、地域ごとに具体的な議決権行使とエンゲージメントのガイドラインを策定しています。詳細はこちらをご覧ください

SSGAでは、各企業や業種にとって重要(マテリアル)と考えられるESG項目をエンゲージメントの議題や議決権行使判断の重要な要素として積極的に取り入れており、その目的に資するために、透明性が高いかたちで第三者のESG評価データやサステナビリティ会計基準審議会(SASB、現在 の 価値報告財団、VRF)のマテリアリティ情報を組み合わせて算出した当社独自のESG評価スコア、R-FactorTMを活用しています。

当社ではソート・リーダーシップを活用して、主要な市場における投資先企業に対してESGの実践のため、ガイダンスの提供を行っています。

当社グループのアセット・スチュワードシップ・チーム(グローバル)は各地域に配置されており、投資する市場の多様性に対応できるよう、万全の体制を整えています。

原則2:機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、これを公表すべきである

親会社であるステート・ストリート・コーポレーションはSSGAに適用される潜在的な利益相反に対応する包括的で独立した利益相反管理に関する指針を有しています。この指針の下で、ステート・ストリートでは「ステート・ストリート、あるいはその従業員が特定の顧客、または顧客集団に対してサービスを提供することの客観性、判断力、または能力について疑問が生じさせる可能性のある場合に、利益相反が生じることがある」と定めています。

その他にも当社の業務や業界に関連する状況に応じた特定の方針が必要に応じて作成、実施されており、当社の活動において発生する利益相反を特定、管理、軽減することを保証しています。

加えて、SSGAは潜在的な利益相反や関連する緩和策について特定、軽減、記録する当社のプロセスと枠組みを確立する、利益相反管理プロシージャとその記録を保持しています。この枠組みはステート・ストリートの他部門で実施されている関連する方針と連携して効力を発するように設計されています。さらに、当社では議決権行使とエンゲージメント活動を通じて生じる可能性のある利益相反の管理に関する特定のガイダンスを提供することで、上述の方針とその実践を補完しています。方針、プロシージャ、記録とガイダンスの組み合わせにより、当社ではビジネス活動を通じて発生する可能性のある利益相反の特定、管理、軽減が可能となっています。

原則3:機関投資家は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべきである

SSGAでは徹底したリサーチ、分析、及び取締役会、経営幹部との定期的なコミュニケーション機会を組み合わせることで、投資先企業のパフォーマンスを監視しています。こうしたプロセスは、当社のポートフォリオ内の企業の企業戦略、業績、ガバナンス慣行、財務、およびリスク管理システムについてより深く理解することができるように設計されています。また当社は、重要であると考えられる場合において環境、及び社会的要因を注意深く検討します。

企業の分析と対話の結果に基づいて、当社では潜在的な懸念や改善余地を特定する可能性があります。そのような場合には、当社では議決権やエンゲージメントの影響力を活用し、顧客の投資価値の向上という究極的な目標に沿って、企業に前向きな変更を促します。このプロセスの効率を向上するために、当社では独自のポートフォリオスクリーニングツールを開発しました。その中には、長期の財務パフォーマンス、ガバナンス及びサステナビリティの構造とパフォーマンスなどの主要項目が、当社の絶対的、相対的エクスポージャーと同様に含まれています。スクリーニングツールは当社グループのアセット・スチュワードシップ・チーム(グローバル)が各地域における積極的エンゲージメント先企業のリストを作成することを可能にしています。

エンゲージメントプロセスの次のステップは取り組みを行う問題の性質によって変わってきます。戦略の実行、財務、オペレーション、リスク管理に関連した事柄は、通常経営幹部の代表者とエンゲージメントが行われます。より広範な戦略に関する事項、とりわけ取締役会の構造、有効性や責任については、幅広いガバナンス体制の監督と同様に、通常は取締役会の関連するメンバーと対話が持たれることとなります。

また必要に応じて、エンゲージメントが満足な結果に至らなかった場合には懸念を表明する可能性があります。

重要なことは、エンゲージメントプロセスを通じて経た認識や結論が類似の議案に対する行使判断を形成することの役に立つであろうということです。さらに、再選を目指す取締役の継続的な適性に関する検討にも影響を及ぼします。当社は、注目すべき企業や業界、および規制上の問題と出来事を定期的に追跡する社内メカニズムを補完するような、様々な投資家による団体における主要メンバーであり重要な役割を果たしています。

当社のプロセスにおける明確で透明性のある監査証跡を担保するため、当社グループのアセット・スチュワードシップ・チーム(グローバル)はエンゲージメントを記録するだけでなく、議論の余地のある状況における議決権行使の詳細な分析を可能とするデータベースを保持しています。複数年に渡り記録が保存されたデータベースにより、エンゲージメント活動を通して特定された企業の問題がその後の継続的フォローの後に、どのような前向きな変更に至ったかを把握することが可能となっています。最後に、当社のモニタリングプロセスは、エンゲージメント活動が適切な実施と、プロセスの有効性、効率性を検証するために、少なくとも年次で見直しが行われています。

原則4:機関投資家は、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に努めるべきである

当社のスチュワードシップ活動の目的の一つは、企業がESG活動の深化に伴って当社を長期的なパートナーとして認識することを推進することにあります。当社は(1)当社のポートフォリオで保有する企業を業績、および適用可能な場合にはESGファクターでエンゲージメント活動の優先順位のスクリーニングを行い、(2)投資先企業に変化をもたらすために経営幹部、及び取締役会のメンバーとの建設的な対話によってこの目的を達成することを目指しています。当社独自のESGスコアリングシステムであるR-FactorTMはスクリーニング、議決権行使、エンゲージメント活動を含むスチュワードシッププロセスの情報を伝えるうえで重要な役割を果たしています。さらに、当社ではソート・リーダーシップとガイダンスを通じて主要市場におけるESG慣行の発展について投資先企業に伝えるために活用しています。

各エンゲージメントの初めに、企業の経営陣との対話における優先順位と目的を明らかにします。これらの目的に対する進捗状況は、グローバルで一括して社内のスチュワードシップ・プラットフォームに記録されます。

当社のエンゲージメント活動は顧客資産の長期的価値の最大化と保護の目的として遂行されます。相当数の株式を保有する長期投資家として、投資先企業の独立取締役との直接のコミュニケーション・チャネルを持ち、関係性を確立することは重要であると信じています。

投資先企業とのコミュニケーションにおいては、常にエンゲージメントを優先しています。しかし、当社が求めるペースで改善が行われていない場合には、主に議決権行使を使って、企業の取締役会に対し、取り組みの強化を促します。

当社のエスカレーションのプロセスでは、個々の市場の違いや基準を考慮しつつ、発行体企業のガバナンスとサステナビリティに関する取り組みが、健全なガバナンスの世界的な原則に近付くよう推進しています。

当社は市場におけるベストプラクティスの実践のために集団的な行動が必要であると考える市場において、他のステークホルダーと共に(そうした活動が法的に許可されている場合において)非公式に活動を行います。この取り組みの多くは、気候関連や持続可能な資本市場の構築を働きかける様々な組織やイニシアティブを通じて行われます。

原則5:機関投資家は、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断基準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべきである

SSGAにおける主要な目標は市場におけるESG慣行を高め、進化させるような効果的な議決権行使とエンゲージメントのガイドラインを開発することにあります。当社はガバナンスと持続可能性に関する慣行が投資家の期待を下回る市場において、より高い議決権行使基準を適用し、業種、テーマ、あるいは市場固有の問題に焦点を置いたエンゲージメントの優先順位を特定することで、この目的の達成を目指します。当社は市場におけるベストプラクティスの実践のために集団的な行動が必要であると考える市場において、他のステークホルダーと共に(そうした活動が法的に許可されている場合において)非公式に活動を行います。

当社のエスカレーション手法の中核は、エンゲージメントやガイダンスで設定した当社の要請に応えられない企業への議決権行使に重点を置いています。そのため、議決権行使に関しては、強固なアプローチと高水準の活動の維持にコミットしています。

当社の議決権行使ガイドラインは、個々の市場の微妙な違いや基準を考慮しつつ、企業のガバナンスとサステナビリティの実践を、グッド・ガバナンスというグローバル原則に向けて推進するよう設計されています。そのため場合によっては、現地の市場慣行を超える基準を企業に求めることもあります。これは、問題の種類により異なるアプローチが必要だとの認識からです。グローバルの原則と6つの市場固有のガイドラインが当社ウェブサイトで公開されており閲覧が可能です。当社はまた環境及び社会問題に関する議決権行使エンゲージメントのガイドラインをポートフォリオ内の企業にさらなる情報を提供するために発行しています。

議決権行使プロセスの運営のため、当社では議決権行使とコーポレートガバナンスの専門機関であるInstitutional Shareholder Services Inc. (“ISS”)を活用しています。その一環として、ISSは当社の株主総会での議決権行使プロセスの管理を補完しています。当社はISSを、議決権行使代理人としての役割を果たすべく、当社の議決権行使ガイドラインを適用した行使助言と、一般的なコーポレートガバナンス問題と特定の議案に関するリサーチと分析に加え、限定された状況における議決権行使ガイドラインの提供を受けるために活用しています。

原則6:機関投資家は、議決権の行使を含め、スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に対して定期的に報告を行うべきである

受託者責任として、当社は顧客に対する説明責任を果たすことの重要性を認識しています。そのため、当社は顧客とのミーティング、四半期ごとのスチュワードシップ活動のレポート発行、ESGに関するソート・リーダーシップ、またその他の情報のオンラインでのレポート公開を通じて、スチュワードシップ活動の透明性を提供することを目指しています。顧客とのミーティングでは、当社はスチュワードシップ活動の優先順位を決定するために積極的にフィードバックや意見を求めていきます。SSGAの報告や各種刊行物はウェブサイトでご覧いただけます。

さらに、透明性に対する当社のコミットメントに基づき、2021年第1 四半期から議決権行使結果の公表頻度をグローバル・プラットフォームにて年次から四半期ごとに増やしました。この情報は、関連する企業の詳細、議案の種類、決議内容、および当社の議決権行使の記録を提供する双方向型プラットフォームVote Viewで入手することができます。

原則7:機関投資家は、投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解のほか運用戦略に応じたサステナビリティの考慮に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべきである

当社グループのスチュワードシップはESGとスチュワードシップ活動に100%の時間を割く専門のスタッフを有しています。さらに、投資、マーケティング、レポーティングチーム内にESG関連の業務に関わるビジネスに従事する様々なESG関連の人材を有しています。

アセット・スチュワードシップ・チーム(グローバル)はオーストラリア、インド、ポーランド、米国、英国に拠点を持ち、世界各地で活動しています。チームは様々な年次、経験、バックグラウンドを持つ経験豊富なメンバーで構成され、多様な考え方やイノベーションをサポートしています。チームメンバーはガバナンス、企業戦略、環境管理、社会的影響、労働者の権利、そして経済など様々な分野の専門知識を有しています。これらの知識は事業会社、アドバイザー、あるいは金融分野で培われたものです。

アセット・スチュワードシップ・チーム(グローバル)の活動は、スチュワードシップ活動の戦略、エンゲージメントの優先順位、議決権行使ガイドラインの見直しと議決権行使の目的の遂行を監視する責任を持つESGコミッティー(グローバル)により監督されます。さらに、ESGコミッティーはアセット・スチュワードシップ・チーム(グローバル)を監督し、当社の議決権行使のガイドラインからの逸脱を検証し、議決権行使に関わる利益相反を審査します。ESG委員会には、当社の投資、顧客対応、法務、コンプライアンス、リスク管理、オペレーションの各部門の上級職社員が参加しています。

また、企業固有のリスクを軽減するため、アセット・スチュワードシップ・チーム(グローバル)はコーポレートガバナンスの問題やその他の特定の懸念について企業へのエンゲージメント活動を行うことや、あるいは次回の株主総会の議案に関連してより情報を得るために、当社のアクティブ投資のチームと協同する可能性があります。

当社はまた、テクノロジーを効果的に活用し、確固とした優先順位をつけたアプローチをとることで、スコープとしているプログラムに対して最適な規模のチームを構成することができると考えています。当社はスチュワードシップ活動の目的の達成のために、十分な人員と最適化されたESG関連の情報、技術が活用されていることを確認するため、リソースとテクノロジーの必要性を継続的に評価しています。

原則8:機関投資家向けサービス提供者は、機関投資家がスチュワードシップ責任を果たすに当たり、適切にサービスを提供し、インベストメント・チェーン全体の機能向上に資するものとなるよう努めるべきである

当社には該当しません。