ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社は、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(以下「SSGA」または「当社」)の一員として、日本市場における「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫(2020年改訂版)で体系化されている、規範的スチュワードシップ原則を強く支持します。SSGAは、投資対象企業の取締役会や経営陣との強固な関係構築と、企業のパフォーマンスを監視していくことが、持続可能な成長とSSGA顧客の投資資産の長期的価値向上に繋がると信じています。
機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し、これを公表すべきである
当社は資産運用会社としての受託者責任を非常に重視しています。当社の顧客に対する第一の義務は、顧客資産の長期的価値を最大化することです。当社では顧客の長期的投資価値に影響を及ぼす可能性のあるリスクと機会に焦点を当てており、投資先企業の取締役会によるこうした戦略の監督を重視しています。当社は、独立した取締役会が、事業および業務の重要なリスクと機会に対し効果的な監督を行うことを期待しています。当社は、このようなリスクと機会を十分に考慮することは、企業の長期的な事業戦略にとって不可欠な要素であると考え、取締役会がこの戦略の管理を積極的に監督することを期待しています。当社アセット・スチュワードシップ・チームは、グローバル議決権行使およびエンゲージメントポリシー(以下、「本ポリシー」)の策定及び実施に責任を負っています。
2023年に当社では本ポリシーの改定を行いました。ドキュメントには、日本市場独自のポリシーとして以下のような内容が含まれます。
最新の議決権行使およびエンゲージメントのガイドラインはウェブサイトでご覧いただけます。
機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、これを公表すべきである
当社は発行体企業とステート・ストリート・コーポレーション(STT)、SSGA、SSGA関連会社、SSGAファンドおよびSSGAファンド関連会社間の関係から生じうる不要な影響を防止する各種方針と手順を有しています。例として、当社は議決権行使方針の実施についてアセット・スチュワードシップ・チームのメンバーに一任しています。同チームは営業、マーケティング、運用、あるいは顧客対応を行うチームなどの社内の他部門から独立しています。すべてのSTT社員は、ステート・ストリートの行動基準、利益相反に関するポリシー、および特定された利益相反に対するその他のポリシーに従う必要があります。議決権行使は本ポリシーに従って実施され、グローバル・フィデューシャリー・コンダクト・コミッティ(GFCC)が監督し、少なくとも年に一回見直しが行われます。まれに特定の株主総会議案において議決権行使方針の範囲にない文脈が含まれており、ケースバイケースの分析が必要となる場合がありますが、そうした議案はアセット・スチュワードシップ・チームの責任者に報告されます。議決権行使方針は特定の主体や関係を参照することなく決定されているものであるため、議決権行使方針に沿った一貫した行使は潜在的な利益相反を軽減することにつながります。
さらに、SSGAの議決権行使およびエンゲージメントのガイドラインに含まれる利益相反管理に関するガイドラインは、ステート・ストリート・グループ内の他部門で実施されている関連方針と連携して効力を発するように設計されており、SSGAの議決権行使とエンゲージメント活動を通して生じる可能性のある利益相反に関する情報を提供することで、その実践を補完しています。
2023年に当社は以下のような取り組みを行いました。
機関投資家は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべきである
当社のスチュワードシップ責任を果たすため、主に株主総会における議決権行使と企業に対するエンゲージメントという二つの手段を用いています。当社では議決権行使と投資先企業に対するエンゲージメントを、取締役会の監督を含む強固なガバナンスと情報開示を促進するための手段として活用しています。さらに、当社では投資先企業が考慮すべき重要なリスクと考える領域についてのリサーチとソートリーダーシップ(レポート、論文等)を定期的に発行しています。
取締役は企業の重要なリスクと機会について監督し、適切な情報開示を行う責任を負います。そのため、当社ではエンゲージメントと議決権行使において取締役会に主な焦点を当て、企業の長期戦略の開示と効果的な監督を行う能力を有する取締役を選任し、説明責任を負わせることに重点を置いています。
当社のエンゲージメントは、長期的価値に影響を与える可能性のある課題に焦点を当てています。長期の時間軸で投資を行う資産運用会社として、当社では投資先企業とのエンゲージメントとは、投資先企業に効果的な監督とガバナンスを促し、長期的なリスクと機会について検討させ、それらを企業戦略とマネジメントに統合させるための継続的な対話であると認識しています。企業とのこうした対話は、双方向かつエビデンスに基づいており、両者が互いの課題と機会について共有する場となります。
当社のエンゲージメントは投資先企業、あるいは当社から直接に開始されます。年次株主総会の前には、多くの企業が、当社がどのように議決権行使を行うかについて議論をするためにアプローチをします。当社では、顧客の期待に沿って、投資先企業にとっての重大なリスクまたは機会と思われる対象に優先して、アセット・スチュワードシップのリソースを割くように努めています。
当社ではまた、新たな課題に関するガイダンスを示すための情報を収集すること、あるいは既に確立された領域、とりわけ重要なリスク、あるいは機会が示されている市場、業界、企業において、企業が当社の要請に対する整合性を理解し、また改善に努めること、これら2つの主要な目標のいずれかをもってエンゲージメントを実施します。例として、当社では長年にわたる気候関連の対話や、2017年にTCFD提言への賛同表明したことを活用し、2022年の議決権行使方針からガイダンスに反映を行い、公表したガイダンスに合致しない企業に対する反対票行使を開始しました。
成果を評価し実証するため、当社では企業の監督と開示状況を監視し、また必要な場合には、当社のフィードバックに対する企業の対応を評価するために、以前エンゲージメントを行った企業に対するフォローアップを行います。こうした方法は複数年に渡るスチュワードシップ活動に対するアプローチを必要とし、企業に対する投資期間が長期にわたることが予測される当社の運用の性質を反映しています。
機関投資家は、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に努めるべきである
当社は、エンゲージメントはお客様の投資の長期的な経済的価値を守り、促進するために活用できる有意義なツールであると考えています。エンゲージメントを通じて、投資先企業との長期的な関係を構築し、長期的な株主価値創造の促進に関連する幅広いトピックに取り組むことを目指しています。
当社のアセット・スチュワードシップ・チームは、当社のエンゲージメント・アプローチの概要を定める「グローバル議決権行使およびエンゲージメント方針」(以下「本方針」)を策定しました。当社は、持続可能性に関連するリスクや機会を含め、本方針の原則について議論するために、発行体固有のエンゲージメントを実施しています。本方針は、定期的なレビュー・プロセスの一環として、毎年見直し、更新しています。さらに、当社は、お客様に代わって投資する企業に影響を与える新たなリスクや問題を評価します。
当社は投資先企業とのエンゲージメントに、包括的なアプローチを採用しています。当社のスチュワードシップ優先順位決定プロセスによってポートフォリオのリスクを軽減するために、エンゲージメントや議決権行使の対象とする企業を積極的に特定することができます。エンゲージメントを通じて、お客様に代わって投資する発行体と長期的な関係を構築し、長期的な株主価値創造の促進に関連する幅広いトピックに取り組むことを目指しています。当社がより多くの情報を得たい、あるいは議論したいと思うことがある場合において、企業および取締役会は通常、当社との独立したエンゲージメントに積極的に参加しています。
2023年に当社は以下のような取り組みを行いました。
機関投資家は、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断基準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべきである
当社が裁量を与えられているすべての議決権行使判断およびエンゲージメント活動は議決権行使方針に従って行われ、必ず顧客の利益のみを考慮してスチュワードシップ責任を遂行します。
当社では財務的に重大なリスクと機会に対する効果的な情報開示と監督に対して責任を有する取締役の選任という目的に重点を置いています。そして、議決権行使判断を通して、取締役会や企業に説明責任を負わせる際に考慮する要素を可視化するために、透明性のある議決権行使ガイドラインの作成に努めています。
全ての議決権行使判断は議決権行使とその運用ガイドラインに基づきます。合同運用ファンドの受託者が、当該ファンドが保有する有価証券の議決権行使責任を当社に委任する場合を含め、顧客が当社に議決権行使の権限を委譲した場合には、当社では議決権行使方針に記載されている原則に従って、これら有価証券の議決権を統一して行使します。
当社のチームは、議決権行使の結果、情報開示の整合性、企業ごとの成功事例など、プログラムの有効性をモニタリングおよび報告しています。当社は四半期ごとのスチュワードシップ活動報告書、「Vote Bulletins」、「Vote View」でその結果と活動を報告しています。
機関投資家は、議決権の行使を含め、スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に対して定期的に報告を行うべきである
当社は、スチュワードシップ活動について、スチュワードシップに向けたアプローチ、エンゲージメント、議決権行使方針、年間の活動などの詳細を記載した四半期ごとのスチュワードシップ活動レポートなど、定期的なお客様向けレポートの発行や、関連情報のオンライン報告を通じて、透明性を提供しています。また、当社のウェブサイトでは、ガバナンスとサステナビリティに関するソート・リーダーシップを定期的に公表しています。
透明性に対するコミットメントの一貫として、当社は2021年から議決権行使記録の公表頻度を年次から四半期ごとに増やしました。
当社では以下のような手段で当社の議決権行使判断について情報伝達を行っています。
Vote View:SSGAの最終的な議決権行使の結果は、株主総会が開催された四半期の翌四半期に、当社が公開しているVote Viewプラットフォーム上で公表されます。このツールを使用すると、会社名で議決権行使結果を検索することができます。議決権行使活動レポートには、重要な企業の詳細、提案の種類、決議内容の説明、当社による議決権行使が記録されています。
Vote Bulletins:当社のチームは、特定の議決権行使について「Vote Bulletins」を公表し、議決権を行使する意思決定の根拠を説明しています。これらは議決権行使およびガイダンス・ライブラリーの「議決権行使報告(Vote Bulletins)」タブでご覧いただけます。
顧客とのエンゲージメント:当社では顧客の要請に応じて特定の課題に対する議決権行使の根拠についての説明を定期的に行っています。
四半期報告:関連する戦略については、顧客に特定の期間内の戦略に関する主要なエンゲージメントと議決権行使行動に関するレポートを提供します
当社ではまた、以下の活動レポートを通じて当社のさらなるスチュワードシップにおける取り組みを公表しています。
年次スチュワードシップレポート:当社では年間を通じたエンゲージメントと議決権行使活動の詳細について詳述した年次スチュワードシップレポートを発行しています。
四半期スチュワードシップ活動レポート:年次レポートの内容は四半期スチュワードシップ活動レポートによって内容が補完されます。
当社の公開する各種レポートはこちらのアセットスチュワードシップライブラリーでご覧いただけます。
機関投資家は、投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解のほか運用戦略に応じたサステナビリティの考慮に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべきである
当社は、アセット・スチュワードシップに特化したチームを有しています。当社のアセット・スチュワードシップ・チームは、米国、英国、ポーランド、オーストラリア、シンガポール、インドなど、世界中に拠点を置いています。当社はアセット・スチュワードシップ・プログラムの強化を引き続き追求しています。例として、2023年には地域別のリーダーシップ体制を導入し、域内における議決権行使とエンゲージメント活動の監督を担当するEMEAスチュワードシップ・ヘッドを採用しました。2024年には、この地域体制をさらに強化して、アジア太平洋、および米国のスチュワードシップ・ヘッドを採用しました。当社では、各地域における専門知識と深い専門性を有したチームメンバーによって構成されるこの体制が、当社ポートフォリオに保有する企業とのエンゲージメント・議決権行使に対する理解、対応力を強化し、顧客資産の最善の利益につながると考えています。
アセット・スチュワードシップ・チームのシニアリーダーの略歴については、当社発行のスチュワードシップレポート2023の中に表示されています。
機関投資家向けサービス提供者は、機関投資家がスチュワードシップ責任を果たすに当たり、適切にサービスを提供し、インベストメント・チェーン全体の機能向上に資するものとなるよう努めるべきである
当社には該当しません。